帝国データバンクは、2026年11月以降の飲食料品の値上げ動向と、今後の展望・見通しについての分析結果をまとめた。11月の値上げは1477品目で、大規模な値上げラッシュはひとまず落ち着いた。一方、2026年の値上げ品目数は1~12月までの判明分で2万327品目となり、2年連続で年間2万品目を超えた。

11月は1477品目、3カ月ぶりに3千品目を下回る
主要な食品メーカー195社を対象に、家庭用を中心とした11月の飲食料品値上げを集計すると、合計1477品目だった。値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均17%。単月の値上げ品目数が3千品目を下回るのは3カ月ぶりで、大規模な値上げラッシュは一服した。ただし、11月としては2022年以降で2番目に多い水準にある。前年11月の150品目と比べると約10倍の規模で、高い水準での推移が続いている。
なお、品目数と値上げは各社の発表に基づいている。年内に複数回値上げした品目はそれぞれ別品目として数え、値上げ率には発表時点の最大値を採用した。価格を据え置いて内容量を減らす「実質値上げ」も集計の対象に含まれる。
11月の値上げを食品分野別にみた内訳は次のとおり。
- 調味料(644品目):ソース類やマヨネーズ類が中心。全分野で最多となるのは26年9月以来、2カ月ぶり
- 酒類・飲料(417品目):酒税改定の影響を受けた発泡酒や第三のビール類などが押し上げた前月の1471品目からは大幅に減少。コーヒー飲料をはじめとするPET飲料・清涼飲料水が対象となった
- 加工食品(275品目):魚介缶詰製品や乳幼児向け食品などが中心

2026年は2万327品目、秋口に値上げが集中
2026年の値上げ品目数の累計は、1~12月までの判明分で2万327品目となった。11月実施分によって、2年連続となる年2万品目超えが確定した。9~10月の2カ月間で、年内の約4割を占める8千品目が値上げの対象となっており、秋口に集中した点が今年の特徴だ。11月単月も1千品目を超える値上げが発生しているが、12月は小規模になるとみられ、年間では前年(2万609品目)とほぼ同水準で推移する見込みとなっている。
年間の値上げ品目数を分野別にみると、冷凍食品やパック米飯などの「加工食品」が6968品目で最も多く、前年の実績値(4791品目)を4割超上回った。これに「調味料」(6258品目)、「酒類・飲料」(3381品目)、「菓子」(1415品目)が続く。全食品分野のうち、加工食品・調味料・菓子・原材料の4分野で前年実績を上回った。
原材料高の比率は低下、人件費は過去最高に
値上げ要因をみると、「原材料高」による値上げが91.7%を占め、全要因の中で最も高かった。ただし年間の水準としては、要因の集計を始めた2023年以降で最低となった。一方、電気代などの「エネルギー」(63.9%)は2年連続で上昇し、賃上げなどを要因とする「人件費」(51.5%)は過去最高を記録した。「中東情勢」を要因とした値上げは27.5%を占め、原油価格やナフサ価格の上昇を通じて食品関連コストを押し上げたが、3月以降に発生した「ナフサショック」の影響にはピークアウトの兆しがみられる。
2027年は値上げ継続も、ペースは緩やかになる可能性
9~10月にかけての大規模な値上げラッシュをピークに、足元では値上げの波が落ち着きつつある。ただ、企業の仕入れコスト負担は依然として重く、賃上げや物流費、エネルギーコストの上昇など、食品を取り巻くコスト環境も楽観視できる状況にはない。家計では物価高の負担感が長期化しており、価格改定への消費者の理解は一定程度広がりつつあるものの、その必要性や背景について従来以上に丁寧な説明が求められる局面に入っている。内容量変更を伴う実質値上げも含めて価格への消費者の視線は厳しさを増しており、さらなる物価上昇に対する許容度には限界感もみられる。
こうした中、2027年は2026年秋に集中した価格改定の反動もあり、年間の値上げ品目数が前年を下回る可能性がある。一方で、輸入小麦価格の上昇を背景としたパン類の値上げなど、既に一部では価格改定の動きが出ている。改善の兆しが見られない中東情勢に起因する石油製品価格の高止まりや、人件費・物流費を中心とした国内のインフレ圧力も今後続く見通しで、企業努力だけでは吸収しきれない構造的なコスト増に大きな変化はないとみられる。
また、十分な理解を得られない価格改定は、販売数量の減少やブランド価値の低下につながるリスクも高まっている。このため、商品ごとの選別的な価格改定や内容量の見直し、高付加価値商品の投入による収益確保を優先する動きが広がるとみられる。2024年にみられたような「本体価格の引き上げ」と、容量などを調整して価格を据え置く「実質値上げ」が混在する展開が見込まれている。
飲食料品価格は引き続き上昇基調で推移するとみられるが、2026年のような大規模な一斉値上げラッシュから、商品やカテゴリーごとに価格改定が断続的に行われる局面へ移行すると予想される。企業が消費者の反応を慎重に見極めながら価格転嫁を進めることで、値上げペースは2026年に比べて緩やかになる可能性もある。
出典:株式会社帝国データバンク