株式会社YORISOI(東京都渋谷区、代表取締役:竹原 甲斐斗)は、人材紹介市場の変化と今後の提供価値をまとめた分析レポートを公開した。分析には厚生労働省の公表統計と、転職支援に関する民間調査を用いている。レポートでは、事業所数と手数料収入の推移に加え、報告提出事業所1か所当たりの常用就職件数と手数料収入を独自に算出した。そのうえで、人材紹介会社が継続的に選ばれるための「求職者集客」と「求職者理解」のあり方を考察している。

事業所数は5年間で17.4%増、1件当たり手数料は約103万円に
厚生労働省「民営職業紹介事業所数の推移」によると、有料職業紹介事業所数は2020年度の27,899事業所から、2025年度には32,751事業所へ増えた。YORISOIの算出では、増加数は4,852事業所、増加率は17.4%となる。この数値は「事業所数」であり、法人・会社の数ではない。また、後述する「事業報告を提出した事業所数」とは集計対象が異なる。
厚生労働省の「職業紹介事業報告書の集計結果」をもとに、2023年度と2024年度の有料職業紹介事業の主要指標を比べると、次のとおりとなる。
- 事業報告を提出した有料職業紹介事業所数:29,171事業所(2023年度)、30,561事業所(2024年度)
- 常用就職件数:843,950件(2023年度)、888,993件(2024年度)
- 手数料収入総額:約8,362億円(2023年度)、約9,835億円(2024年度)
- うち常用就職に係る手数料:約7,821億円(2023年度)、約9,136億円(2024年度)
- 常用就職1件当たりの手数料:約93万円(2023年度)、約103万円(2024年度)
2024年度は前年度と比べ、常用就職件数が5.3%増、常用就職に係る手数料が16.8%増、1件当たりの手数料が10.9%増だった。常用就職とは、期間の定めがない雇用、または4か月以上の期間を定めた雇用への就職を指す。なお、1件当たりの手数料は総額から算出した平均額で、各社の料金や利益を示すものではない。紹介職種や年収などの構成も影響するため、一律に手数料率が上がったことを意味するものでもないとしている。

独自分析:1事業所当たりの就職件数はほぼ横ばい
YORISOIは、市場全体の拡大を事業所単位で確かめるため、各年度の常用就職件数と常用就職に係る手数料を、それぞれの報告提出事業所数で割った参考指標を算出した。1事業所当たりの年間常用就職件数は、2023年度の約28.9件に対して2024年度は約29.1件で、前年度比約0.5%増だった。一方、1事業所当たりの年間常用就職手数料収入は約2,681万円から約2,989万円となり、約11.5%増加した。
全国の常用就職件数は増えているが、報告提出事業所数も増えているため、1事業所当たりの件数の伸びは約0.5%となった。YORISOIはこの結果から、市場全体の手数料収入の伸びを、そのまま各社の紹介件数の伸びとして捉えることはできないとしている。そのため各社は、自社の集客数、面談実施数、入社件数、収益を分けて確認する必要があると考えている。なお、これらは全国合計を報告提出事業所数で割った参考値で、就職実績のない事業所も含まれる。中央値や標準的な事業所の実績を示すものではなく、同じ事業所を追跡した比較でもない。

求職者が紹介会社に期待するのは「自分に合う選択肢」と支援
求職者側の視点として、レポートは2つの民間調査を引用している。アデコ株式会社が2026年に公表した調査では、転職エージェントを利用して現在の勤務先に入社した回答者の69.1%が、次回も同じ方法で転職したいと答えた。理由には、助言や提案、自分に合う企業の紹介、日程調整などが挙がっている。
一方、キッカケエージェントの調査では、エージェントの利用を途中でやめた経験のあるITエンジニア317名を対象に中断理由を尋ねた。その結果、50.2%が希望に合わない求人の紹介を、36.6%が応募や内定承諾を急かされたことを挙げた。前者は転職で入社した会社員1,000名を対象とする調査の一部集計で、後者はITエンジニアを対象とする調査である。対象と設問が異なるため、数値を直接比較するものではない。YORISOIは、求職者との接点をつくった後に希望や経験を理解し、提案の理由を説明できることが、紹介会社への信頼につながると考えている。
YORISOIが考える、今後の人材紹介で重要な3つの取り組み
- 紹介できる求人とつながる集客を設計する:自社が支援する職種・地域・経験層を明確にする。そのうえで、求職者が仕事内容や支援内容を理解して応募できる求人原稿・広告を設計する。応募数に加えて有効応募数、面談実施数、入社件数まで確認し、どの段階に改善余地があるかを把握する。
- 希望条件の背景まで理解する:希望年収や職種だけでなく、転職を考えた理由、変えたい働き方、活かしたい経験、転職時期を確認する。たとえば「残業を減らしたい」という同じ希望でも、育児との両立、通勤負担、学習時間の確保など、背景は人によって異なる。譲れない条件と相談できる条件を本人と整理し、企業の実際の働き方と照らし合わせて提案する。
- 入社後の状況を、次の集客・提案に反映する:内定承諾や入社に加えて、入社後の定着状況や、事前説明との認識のずれを確認する。そこで得た情報を求人原稿、企業への確認事項、面談内容に反映し、支援品質の改善につなげる。
これらは公開データの分析を踏まえたYORISOIの提案であり、今回の分析で各施策の効果を実証したものではないとしている。分析日は2026年10月28日で、厚生労働省の公表値の比較・比率計算と、民間調査の文献調査によって行われた。新規アンケートは実施していない。

人材紹介会社向けの採用代行・RPOサービス「採用くん」
YORISOIは「渋谷を代表するHRカンパニーへ」を掲げ、人材紹介、採用代行、求職者集客支援などを展開している。人材紹介会社向けには、採用代行・RPOサービス「採用くん」を提供している。求人制作・媒体運用から応募者対応、日程調整、面談着座フォローまでを支援するサービスで、次の2つのプランがある。
- ライトプラン:月額25万円(税別)。求人媒体・広告の運用を支援する
- ベーシックプラン:月額45万円(税別)。媒体運用に加え、応募者対応から面談着座までを支援する
広告費は別途必要で、支援範囲は契約条件に応じて案内される。同社は、「紹介求人に合う求職者が集まらない」「応募者対応に追われている」「面談や求人提案に使う時間を増やしたい」といった課題を抱える人材紹介会社からの相談を受け付けている。相談内容に応じて、対象職種・地域・予算・社内体制に合った支援内容を案内するとしている。
出典:株式会社YORISOI