NEW

ソニー銀行と富士通、勘定系システム開発に生成AIを本格適用し開発期間を30%短縮

生成AI適用による具体的な成果

本取り組みでは、基本設計から結合テストまでの工程において、工数を平均40%削減し、開発期間を30%短縮しました。具体的な成果は以下の通りです。

  • 基本設計工程: 影響調査工数を最大90%削減

  • 詳細設計工程: 設計書作成工数を最大40%削減

  • 製造工程: ソースコード生成率99%を達成

  • 結合テスト工程: テスト実行工数を最大90%削減

取組の背景

日本の金融業界は、システム開発における構造的な課題に直面しており、新しいサービスの提供までに時間とコストがかかることが、市場の変化への迅速な対応を困難にしていました。こうした状況に対し、生成AIなどの技術進化が加速する中で、変化に即応できる開発体制の構築が金融機関の競争力を左右すると認識されています。ソニー銀行と富士通は、AWSジャパンと協力し、銀行システムの根幹である勘定系システムの開発プロセス変革を進めてきました。

取組の概要と特徴

本取り組みでは、「Amazon Bedrock」上で提供されるAnthropicの生成AIモデル「Claude」を中核とするAIエージェントを活用しています。生成AIは単独のツールとしてではなく、開発プロセス全体を変革する目的で利用されています。主な特徴は以下の3点です。

  1. AIを中心とした開発プロセスへの変革: コーディングに限定せず、基本設計、製造・単体テスト、結合テストといった主要な開発工程全体に適用されています。AIエージェントが設計書、ソースコード、テスト資産などの開発資産を工程横断で活用し、前工程の成果物を後続工程で再利用することで、開発効率を向上させています。人が最終判断と品質保証を担い、品質と生産性の両立を実現しています。
  2. PoCではなく、実開発への適用: 本番稼働中の勘定系システムの実開発に適用されており、概念実証に留まっていません。オンライン取引処理やバッチ処理を含む多様なアプリケーション開発に活用され、生成AIが開発の標準プロセスに組み込まれています。
  3. 「Core Banking xBank」との高い親和性: 「Core Banking xBank」のクラウドネイティブかつマイクロサービスを前提としたアーキテクチャが、生成AI活用の基盤となっています。AWS上で稼働する環境により、生成AIサービスとの連携や検証が迅速に進められ、マイクロサービス構造により機能単位での段階的な適用と評価が可能となりました。

クラウドネイティブな銀行システムをAIとAWSで構築するフレームワーク

今後の展開

ソニー銀行と富士通は、今後、要件定義を含む開発工程全体への生成AI適用を進めるとともに、セキュリティや運用・保守領域へ適用範囲を段階的に拡大する予定です。ソニー銀行は、AIを継続的に活用し、顧客ニーズや事業環境に迅速に対応できる「AIネイティブな銀行」の実現を目指します。

富士通は、本取り組みで得た知見を「Core Banking xBank」を採用する他の金融機関へも展開し、日本の金融システム開発の高度化に貢献していく方針です。また、この知見は、金融機関のAI活用を支援する専有環境のAIプラットフォーム「Uvance for Finance AI Transformation Platform」の開発にも生かされます。

システム開発の適用領域拡大戦略

関係者のコメント

ソニー銀行株式会社 執行役員 福嶋 達也氏は、「本番稼働中の勘定系システム開発に生成AIを本格適用できたことは、AIを前提として継続的に進化する銀行を目指すうえで大きな一歩」と述べています。

富士通株式会社 執⾏役員常務 八木 勝氏は、「本取り組みは、『Core Banking xBank』上で進む実際の勘定系システム開発に生成AIを本格適用した先進事例であり、金融システム開発の新しいモデルを示すもの」とコメントしています。

アマゾン ウェブ サービスジャパン合同会社 常務執行役員 巨勢 泰宏氏は、「規制と信頼性の要求が高い銀行勘定系システムの本番開発において、開発期間約30%短縮を実現されたことは、日本の金融業界におけるAI活用の新たなマイルストーンで大変意義深い取り組み」と評価しています。

Anthropic Japan合同会社 代表執行役社長 東條 英俊氏は、「ソニー銀行と富士通が、勘定系システムの設計から開発、テストまでの各工程で『Claude』を活用し、人の判断と品質保証を大切にしながら開発を進められたことを嬉しく思う」と述べています。

関連リンク

この記事を書いた人

webmaster

ビジネス・経済を軸に、経営・マーケティング・DX・キャリアの実務に役立つ情報を発信しています。