評価の背景と目的
大和ハウスグループは、環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」を掲げ、創業100周年となる2055年までに事業活動やサプライチェーンを含めた事業全体で「環境負荷ゼロ」の実現を目指しています。特に「ネイチャーポジティブ」と「水循環」を重点テーマとし、自然環境への負荷低減や生物多様性の保全に取り組んでいます。今回のSBTN手法に基づく分析は、この取り組みの一環として実施されました。
評価結果と特定された課題・地域
大和ハウス工業は、自社拠点における水利用や水質への影響に加え、木材などの建築資材の調達が水資源や土地利用に与える影響、建設事業に伴う土地利用の影響を評価しました。調査対象には、調達物の原産地、グループ企業101社の5,129拠点(2023年度)、およびオフサイト拠点(施工現場、保有不動産、太陽光発電設備)65,268拠点(2020年度~2024年度)が含まれています。地域ごとの自然環境や生物多様性の状態も踏まえ、課題の重要度が評価されました。
主な検証結果
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調達(サプライチェーン)における重点課題の特定
自然環境への影響が大きい建材や原材料が特定され、水利用、水質汚染、土壌汚染、土地利用、土地利用の変化について評価が行われました。目標設定を進める上で、原産地を把握している木材以外の鉄、セメント、砂利・砂についても、原産地の把握や調達先の追跡をさらに進める必要があることを確認しています。 -
事業活動(自社事業)における重要な地域の特定
事業活動における水利用の評価の結果、優先的に対応すべき地域が特定されました。発電所など水利用量が特に大きい事業拠点や、水利用が多く河川への排水を伴う工場やゴルフ場が立地する九州地域、生物多様性への影響が高い地域のメキシコや中国などが重要な地域として特定されています。
今後の取り組みと目標
大和ハウス工業は、今回の分析結果を環境行動計画「エンドレス グリーン プログラム2029」に反映させるとともに、特定した優先地域や課題について具体的な目標を設定し、開示していく計画です。また、在来種を活用した緑化や、敷地内での雨水の浸透・貯留などを進めることで、生物多様性の保全、水循環の健全化、洪水リスクの低減に貢献する方針です。
水環境保全については、2055年までに「水リスクゼロ」の実現を目指し、調達および事業活動における水リスクの把握と低減に取り組んでいます。調達(サプライチェーン)では、同社、大和リース、フジタの主要サプライヤー207社を対象に水リスク調査を実施。事業活動では、売上高当たりの水使用量を2029年度までに2012年度比47%削減することを目標に掲げ、節水設備の導入や雨水利用などによる水使用量の削減を進めています。今後は、特定した重要な地域を対象に、SBTNのStep 3(目標設定)を踏まえた科学的根拠に基づく具体的な自然目標の設定を進める計画です。

SBTN(Science Based Targets Network)について
SBTNは、2019年に設立された企業の自然関連目標設定を支援する国際イニシアチブです。CDP、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)などが参画し、企業のネイチャーポジティブ実現に向けた指針や手法を提供しています。
SBTNの自然関連目標設定プロセスは3段階で構成されます。Step1では、SBTNの技術ガイダンスに基づき、事業活動や調達活動が自然環境に与える影響を科学的根拠に基づいて分析・評価します。Step2では、その結果を踏まえて優先的に対応すべき地域や課題を特定し、目標設定の基盤を整えます。Step3では、特定した地域や課題に対する具体的な自然関連目標を設定します。
企業はStep1・Step2の検証を完了した後にのみ、Step3の目標設定に関する検証を受けることができ、各Stepの検証を完了した企業名は、SBTNが運営するデータベース「SBTN’s Target Tracker」で公表されています。
関連リンク
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大和ハウスグループ「サステナビリティレポート2026」
https://www.daiwahouse.co.jp/sustainable/library/csr_report/index.html -
検証結果の詳細情報(SBTN’s Target Tracker)
https://sciencebasedtargetsnetwork.org/company/target-tracker/