コクヨ株式会社(本社:大阪市/社長:黒田英邦)は、同社ワークスタイル研究所所長の田中康寛氏が執筆した書籍『なぜ、みんなで働いているのに孤独なのか We-Being――幸福は私たちの「あいだ」に宿る』(発行:ニューズピックス)を、11月4日(水)に全国の書店・ECサイトで発売する。同社は2022年から、京都大学・人と社会の未来研究院の内田由紀子教授と共同研究を進めてきた。本書はその成果をもとに、9か国・6,569人への調査で見えてきた日本の職場の孤立と、つながりを結び直すための実践をまとめたものだ。We-Being Project(ウィービーイング プロジェクト)として初めての書籍となる。
社内で気軽に相談できる同僚は日本が平均2.0人、孤立の背景にある「遠慮」
コクヨと京都大学は2025年に「職場の協調的幸福感に関する9カ国調査」を実施した。その結果、社内で気軽に相談できる同僚の数は、日本が平均2.0人で9カ国のなかで最も少なかった。相談できる同僚が1人もいないと答えた人も約2割にのぼっている。
本書は、この孤立の背景として「遠慮」に着目する。迷惑をかけたくない、負担に思われたくないという思いやりが、人と人のあいだに見えない衝立をつくっているのではないか、という問いだ。
そのうえで本書は、幸福は人と人、人と場の「あいだ」に生まれるという視点に立ち、その状態を「We-Being」と呼んで考察を進める。We-Beingとは、人や場への好奇心を通じて調和し、その協調関係を支えに自律的に行動できる状態を指す。構成要素は次の3つだ。
- わかちあう幸せ
- なじむ幸せ
- ひとなみの幸せ
国際比較で職場の緊張関係を分析し、関係を結び直す実践を紹介
第1部「わかちあわない職場」では、国際比較データを手がかりに、日本の職場が抱える5つの緊張関係を読み解く。取り上げるのは、社外活動と社内コミュニティ、自律と協調、孤立と孤高、若手とミドル、利己と利他の5つである。年代別の分析では、日本と韓国で、30代から40代にかけてWe-Beingがいったん沈み、その後に回復する「ミドルの谷」型の傾向が見られた。第4章では、この時期に重なる管理職のつらさを、支援を与えるばかりで受け取る機会が乏しいという役割の構造から論じている。
第2部「遠慮し合う関係のほぐし方」では、地域や近所、組織、そして他者を通して見つめ直す自分自身へと視点を移しながら、関係を結び直す実践を紹介する。事例として挙げるのは、100人カイギ、タニモク、京セラの社内イベント、新宿のど自慢大会など、「集まる言い訳」を取り戻してきた取り組みだ。本書は、遠慮をなくすのではなく、遠慮があってもつながれる仕組みを職場にどう用意するかを問い、明日の職場から試せる視点と方法を具体的に示している。
巻末には、共同研究者である内田由紀子教授による解説を収録した。想定読者は、職場の人間関係や規範に疑問を抱いている人や、人事・総務・経営企画・管理職など、組織と職場づくりに携わる人である。
書籍概要と著者・解説者
- 書名:『なぜ、みんなで働いているのに孤独なのか We-Being――幸福は私たちの「あいだ」に宿る』
- 著者:田中康寛(コクヨ ワークスタイル研究所 所長)
- 解説:内田由紀子(京都大学 人と社会の未来研究院 院長・教授)
- ISBN:978-4-910487-06-9
- 装幀・本文デザイン:HOLON
- 発売日:2026年11月4日(水)
- 発行:ニューズピックス(運営会社:株式会社ユーザベース)
- 判型:四六判(並製)/192頁
- 定価:1,800円+税
著者の田中康寛氏は、コクヨ株式会社ワークスタイル研究所所長で、ヨコク研究所の研究員も務める。2013年にコクヨへ入社し、オフィス家具の商品企画・マーケティングを経て、2016年から働き方と未来社会のリサーチに従事している。京都大学との共同研究を土台に、幸せを「わたしたち」から捉えなおす「We-Beingプロジェクト」を立ち上げ、国際比較調査から商品開発、職場のコンサルティングまでを手がける。延べ2万人の仕事観を定点観測する国内統計レポート『WORK VIEW』の編集責任を担い、世界のワークプレイスの最前線を取材する『Global Workplace Review』の編集長も務めている。
解説を担当した内田由紀子氏は、京都大学 人と社会の未来研究院の院長・教授で、専門は文化心理学・社会心理学。ミシガン大学、スタンフォード大学の客員研究員などを経て、2008年から京都大学の教員として研究活動に従事し、2019年に教授、2023年に研究院長に就いた。内閣府の幸福度に関する研究会委員(2010〜2013年)や文部科学省中央教育審議会委員(2021年より)などを務め、日本のウェルビーイング政策にも携わっている。近著に『日本人の幸せ ウェルビーイングの国際比較』(中公新書)、『これからの幸福について 文化的幸福観のすすめ』(新曜社)などがある。
なお、We-Being Projectは、コクヨが内田教授との共同研究をもとに2026年9月に公開したプロジェクトだ。幸せのありかを人と人、人と場との関係、すなわち「あいだ」に見出すウェルビーイングの指標「We-Being」を提唱し、その社会実装をめざしている。研究者や実践者など30人へのインタビュー「30VOICES」、専門家を招いた研究会「We-Being Dialogue」、ポッドキャスト「We-Being Radio」などを通じて探求を続けている。
出典:コクヨ株式会社