
5回目の開催、テーマは「稼ぐ力」と「社会価値創造経営」
Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良 学)は、「FOR SOCIAL VALUE CONSORTIUM 2026」を開催しました。テーマは「不確実な時代を乗り越える 中小企業の稼ぐ力と社会価値創造経営」です。オンライン・オフラインを含めて387名が参加し、第一部でカンファレンス、第二部で懇親会が行われました。
同イベントは、中小企業が輝く未来を創ることを目的に、同研究所が中小企業経営者に向けて年に一度開いているもので、今回で5回目となります。世界情勢の変化、AIの急速な進展、人手不足の深刻化など、先行きの不確実性が高まる時代だからこそ求められる「稼ぐ力」と「社会価値創造経営」に焦点を当てました。有識者や経営者による講演とラウンドテーブルを通じて、持続的な賃上げと企業成長につながる経営のヒントが発信されました。第一部の登壇者は次のとおりです。
- 衆議院議員 加藤 勝信氏
- 一橋大学 CFO教育研究センター長 伊藤 邦雄氏
- 経済産業省 中小企業庁 経営支援課長 佐伯 徳彦氏
- オフィス アベツマ合同会社 代表社員 博士(技術経営) 阿部 剛士氏
- 株式会社ナミックス 代表取締役社長 長井 剛敏氏
- ラウンドテーブルファシリテーター:一般社団法人 社長学総合研究所 代表理事 北方 雅人氏
- 株式会社フォーバル 代表取締役会長 大久保 秀夫
- 株式会社フォーバル 代表取締役社長 中島 將典
- フォーバル GDXリサーチ研究所 所長 平良 学

政策、マーケティング、ものづくりの視点から語られた経営のヒント
キーノートスピーチには株式会社フォーバル代表取締役会長の大久保 秀夫が登壇し、「社会価値創出企業を目指す」をテーマに、中小企業が持続的に成長していくために必要な経営の視点を語りました。世界情勢の変化やAIの急速な進展、人手不足の深刻化など経営環境が大きく変わるなかで、これからの時代に重要になるのは「人」だと説明しました。そのうえで、AIでは代替しにくい「人間力」を高め、社員一人ひとりのエネルギーを同じ方向へ集めることの重要性を示しました。
基調講演では、衆議院議員の加藤 勝信氏が「新たな経済ステージに向けて」をテーマに、マクロとミクロの両面から論じました。日本の一人当たりGDPの低下や実質賃金の伸び悩みという現状に対し、国際的な競争力を高めるには中小企業の成長と生産性向上が不可欠だと指摘しました。中小企業が稼ぐ力を高め、その成果を働く人へ分配することで所得増加と経済成長の好循環を実現できるとし、政策面からも伴走支援を強化していく考えを示しました。
経済産業省 中小企業庁 経営支援課長の佐伯 徳彦氏は、「経済の変革期における中小企業政策」をテーマに、中小企業の生産性向上と価格転嫁を具体的に進めるための政策・支援策を紹介しました。価格交渉の課題は製造業だけでなくサービス業にも広がっていることに触れ、単なる値上げではなく、原価や顧客反応などのデータを持ち、根拠をもって説明することが重要だと指摘しました。経営改善、伴走支援、成長志向企業への集中支援などを通じて、中小企業が自ら稼ぐ力を高められる環境づくりを進める考えも示されました。
オフィス アベツマ合同会社 代表社員で博士(技術経営)の阿部 剛士氏は、「不確実性を突破する未来創造経営」をテーマに、マーケティングの視点から、企業が「値上げをお願いする会社」ではなく「値段を決められる会社」になることの重要性を語りました。価格をコントロールする力を高めるうえで、ブランド、人的資本、知的財産などの無形資産を、将来の財務価値につながる資産として捉える必要があると説明しました。さらに、中小企業の強みである意思決定の速さを生かし、顧客の声を聞く、課題を整理する、価値を数字にする、交渉する、試すという実践を重ねることで、不確実な時代における稼ぐ力と持続的な成長につなげる重要性を示しました。
株式会社ナミックス 代表取締役社長の長井 剛敏氏は、「稼ぐ力は選ばれる力」という視点から、製造業が選ばれるためには技術力だけでなく「どんな会社でありたいか」を発信することが重要だと語りました。同社のビジョン「日本の製造業にFUNとFANを!」を軸に、社員が楽しんで働く姿や会社の空気感を伝えるブランディングを実践してきた事例を紹介しました。企業のあり方を言葉と体験で伝えることが、採用、顧客からの信頼、ファンづくり、ひいては稼げる企業への転換につながると示されました。

ラウンドテーブルで確認された「規模に応じた実装」
平良 学所長は挨拶で、今回のテーマに込めた問題意識と、GDXリサーチ研究所の設立背景を共有しました。中小企業を取り巻く変化に対し、行政・金融・民間などの関係者をつなぎ、現場の実態をレポートとして可視化することの意義を説明しました。講演全体を振り返りながら、「稼ぐ力」は選ばれる力であり、選ばれるためには自社の強みを言語化し、必要に応じて捨てる判断も求められると整理しました。
ラウンドテーブルでは、北方 雅人氏をファシリテーターに、加藤氏、伊藤氏、佐伯氏、阿部氏、長井氏、株式会社フォーバルの中島 將典ら各分野の有識者が、「不確実な時代に中小企業はいかに稼ぐ力を高め、持続的な成長を実現するか」をテーマに議論しました。人的資本、人への投資、パーパス、情報開示、価格転嫁、経営者の伴走支援などが論点となり、大企業の手法をそのまま導入するのではなく、企業規模や状態に応じて実装することの重要性が確認されました。社員や地域社会から期待され、感謝される関係性をつくることが、エンゲージメントや企業の成長力につながるとまとめられました。第二部の懇親会では、経営者同士の名刺交換や情報交換をはじめ、会長講演、基調講演、ラウンドテーブルで得た気づきなどを共有し、参加者同士のコミュニケーションを深める時間となりました。

研究機関として中小企業の実態を発信
平良所長はコメントで、登録ベースで387名が参加し、中小企業経営者を中心に行政、金融機関、自治体、教育機関など多様な関係者が集まったことに触れ、中小企業の持続的な成長を社会全体で考える場になったのではないかと述べています。また、世界情勢の変化、AIの急速な進展、人手不足の深刻化、物価や賃金の上昇など、企業を取り巻く環境が大きく変化している時代に中小企業が選ばれ、稼ぐ力を高めていくためには、価格転嫁や生産性向上にとどまらず、人的資本、無形資産、ブランド、地域とのつながりを含めた経営のあり方を見直すことが重要だとしています。平良所長は1992年に株式会社フォーバルへ入社し、2022年に新たに発足した中立の独立機関であるフォーバル GDXリサーチ研究所の初代所長に就任しました。同研究所は、日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業のGDX(Green Digital Transformation)に関する実態を調査し、世に発信するための研究機関です。今後も中小企業経営における実態調査や研究を行い、ブルーレポート(BLUE REPORT)や研究レポートによる情報発信、中小企業経営者への場や機会の提供を通じて、「中小企業の持続可能な発展を支える研究機関としてなくてはならない存在」を目指し、活動していくとしています。