
医療イラストの来歴を記録する基盤づくりが始動
東証スタンダード上場のabc株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:松田 元、証券コード:8783)と、医療イラスト制作を手がける株式会社レーマン(本社:東京都渋谷区、代表取締役:永田 徳子)は、2026年11月2日に業務委託契約を結びました。対象は、医療イラスト(メディカルイラストレーション)の来歴をブロックチェーンに記録し、図を使う人が確認できるようにする基盤「LAIMAN TRUST」の第1期開発です。第1期では、要件定義、設計、試作、本体開発の計画を進めます。
ここでいう「来歴」とは、図ごとの作成者・監修者・版の情報と、その図が差し替えられていないことを確かめられる記録を指します。abcは、事業の設計から開発までを一体で支援するサービス「ZEKUU Production(ゼクー プロダクション)」を展開しています。今回の取り組みは、同サービスにとって医療分野で1件目の事例です。

なぜ医療イラストに「来歴」が必要なのか
医療イラストは、論文や学会での発表、診療所での患者説明、製薬企業の資料などに用いられています。近年は患者の意思決定に寄り添う医療が進み、患者への説明が重視されるようになりました。分かりやすい説明が求められる一方で、医師の働き方改革の推進により、説明にかける時間の効率化も必要とされています。
なかでも美容医療では、患者への説明に図を用いる場面が増えています。厚生労働省の医療施設調査によると、美容外科を標榜する一般診療所は2023年10月1日時点で2,016施設となり、3年前と比べて43.6%増えました。
図を使う側にとって、作成者や監修者、版の情報は、どの図を選ぶかを判断する手がかりになります。写真や画像の分野では、作成・編集の履歴を記録する国際的な技術標準(C2PA)の整備が進んでいますが、医療イラストには来歴を確かめる仕組みがまだ存在しません。レーマンは2013年の設立以来、専門家との対話とリサーチを一点ごとに重ね、医学的根拠が担保された医療イラストや3Dモデルを制作してきました。

LAIMAN TRUSTで実現すること
LAIMAN TRUSTでは、図にかかわる立場ごとに次のような使い方が想定されています。
- 医師:論文や説明資料に図を使う際、図の版と来歴番号をキャプション1行で示せる
- 患者:説明に使われた図が、専門家の監修や確認を経た版かどうかを番号で確かめられる
- 作成者・監修者:図ごとに、作成者・監修者がIDで記録される
記録はブロックチェーン上に残るため、後から書き換えることは困難です。図が差し替えられていないかどうかは、記録と照らし合わせることで確認できます。第1期の役割分担としては、abcが要件定義・設計・試作・本体開発の計画を担当し、レーマンは作品と制作・監修に関する情報、医療イラストの専門知識を提供します。
日本美容外科学会の学術集会で講演
2026年11月5日(木)7:40〜8:30には、第49回日本美容外科学会総会・第157回学術集会のミニレクチャー1において、レーマン代表取締役の永田 徳子氏が登壇しました。演題は「美容外科の患者説明に求められる医療イラストと来歴付き図版の運用」です。

両社トップが語る狙い
レーマンの永田氏は、医療イラストを正しい知識を分かりやすく人々に届けるためのツールと位置づけています。情報があふれ、生成AIがビジュアルまで作れてしまう便利な社会の中で、医療だけは確かな一枚が必要だとしたうえで、誰が、いつ、何のために、誰と作った図なのかを、使う人が自分の目で確かめられる形にすると述べています。
abcの松田氏は、ブロックチェーンを記録を後から書き換えにくい形で残す技術と説明しました。ZEKUU Productionでは事業の設計から開発までを一体で支援しており、今回は医療分野で最初の事例であるとしたうえで、レーマンの図に積み重ねられたリサーチと専門家の確認を、図を使う先生方が自ら確かめられる記録にするとコメントしています。
出典:abc株式会社