WPPグループのVML & Ogilvy Japan 合同会社は、アジア太平洋地域におけるマーケティングの実効性・効果を表彰する代表的なアワード「APAC Effie Awards 2026」で、ブロンズを受賞した。対象となったのは、ネスレ日本株式会社のキットカット(Nestlé KitKat)で長年続けられてきた取り組み「KitKat = “KitKatsu” = “Surely Win”(キットカット=きっと勝つ)」である。
「成果」を問う国際アワード、APAC Effie Awards
APAC Effie Awards(アジア太平洋地域エフィー賞)は、国際的な非営利団体Effie Worldwideが展開するEffie Awardsの地域プログラムの一つだ。アジア太平洋地域で実施されたマーケティングや広告キャンペーンを、主に「どれだけ成果につながったか」という観点から評価し、年1回発表している。アイデアの創造性だけでなく、ビジネスやブランドの課題解決に実際に貢献したかどうか、つまり「マーケティングの有効性・効果(Effectiveness)」を評価する国際的なマーケティングアワードである。
Effie Awardsは50年以上にわたり、その受賞が「マーケティングの成功における最高峰」を象徴する世界的な実績の証とされてきた。現在は、130以上の市場に広がる60のアワードプログラムと、効果性ランキング「エフィー・インデックス(Effie Index)」を通じて、世界・地域・各国内のあらゆるレベルで最も成果を上げたブランド、マーケター、エージェンシーを認定・表彰している。
今回の受賞カテゴリーは「Sustained Success – Products(持続的成功 – プロダクト部門)」。「Sustained Success」部門は、3年以上にわたり一貫した戦略とクリエイティブのもとで明確なビジネス成果を出し続けた取り組みだけが対象となる。
九州弁の語呂合わせから「無言のエール」へ
この取り組みが生まれたのは2000年代初頭。コモディティ化が進む日本のチョコレート市場で、ブランドならではの文化的価値をいかに確立するかを模索するなかでのことだった。
転機となったのは、九州地方で自然発生的に生まれていた縁起担ぎである。「キットカット」と九州弁の「きっと勝つとぉ(きっと勝つよ!)」をかけた語呂合わせだ。この現象を一過性の話題として扱うのではなく、親や祖父母、友人、教師など受験生の周囲にいる人々が抱える繊細な心理に着目した。「受験生を応援したいものの、直接的な言葉や大げさな応援はかえってプレッシャーを与えてしまうのではないか」というインサイトである。
これをもとに、キットカットは日常の「休憩(Break)」に寄り添うお菓子という役割にとどまらず、言葉にできない想いをプレッシャーを与えることなくそっと手渡せる「無言のエールを届けるためのツール(想いを届ける応援の媒介)」へと、ブランドの役割を深化・再定義した。
時代に合わせて展開した3つのフェーズ
ストーリーテリングは、時代に合わせて次のように展開され続けた。
- 第一フェーズ:パッケージをメディア化し、手書きのメッセージを添えられるようにした
- 第二フェーズ:交通機関やホテル、神社といった受験生の生活動線にブランドを組み込んだ
- 第三フェーズ:SNSで集めた応援メッセージを1,000機のドローンで夜空に描くなど、社会的な広がりを生み出した
20年以上にわたるこうした取り組みを通じて、キットカットは応援文化を象徴するブランドとして強固なポジションを確立し、生活者との深い情緒的なつながりを築きながら、日本市場における持続的なブランド成長とビジネス成果を実現してきたという。今回の受賞では、VML & Ogilvy Japanが2003年から20年以上にわたり、人々の応援の気持ちをつなぐブランドとしてコミュニケーションを時代に合わせて進化させてきたこと、そしてチョコレート菓子の枠を超えた独自のブランド価値を構築しながら持続的なビジネス成果に結び付けてきたことが評価された。
ブランドとエージェンシー、双方が語る20年の並走
ネスレ日本株式会社 コンフェクショナリー&フード事業本部 キットカットマーケティング部長の中西弘明氏は、「Sustained Success」部門でのブロンズ受賞を大変光栄だとしたうえで、「キットカット=きっと勝つ」という生活者の自然な発想をきっかけに多くの人々とともに育んできた取り組みが評価されたことへの喜びを述べた。また、長年ブランドの可能性を信じ、ともに課題に向き合いながらその想いを生活者に届く形へと昇華し続けてきたVML & Ogilvy Japanのチームに感謝を示し、「これからもキットカットは、大切な人を想う気持ちに寄り添うブランドであり続けます」とコメントしている。
プロジェクトをリードしたVML & Ogilvy Japan合同会社 グループ・アカウント・ディレクターの小俣浩美氏は、マーケティングの実効性を厳しく評価するAPAC Effieで、20年以上にわたる長期的な成果が問われる「Sustained Success」部門のブロンズを受賞できたことを大変光栄だと語った。20年もの間、ブランドの志を共にし、深い信頼のもとで並走し続けてきたネスレ日本への感謝を述べ、今後もビジネスに確かなインパクトと価値をもたらすマーケティング・パートナーとして貢献していくとしている。
- 受賞アワード:APAC Effie Awards ブロンズ(Bronze)
- 受賞カテゴリー:Sustained Success – Products(持続的成功 – プロダクト部門)
- 受賞エントリー名:KitKat = “KitKatsu” = “Surely Win”
- ブランド:キットカット(ネスレ日本株式会社)
- エージェンシー:VML & Ogilvy Japan 合同会社
出典:WPPジャパン