株式会社スペースデータ(本社:東京都港区、代表取締役社長:佐藤航陽)は、東京都の「令和8年度 現場対話型スタートアップ協働プロジェクト」で協働企業として採択されました。東京消防庁が掲げたテーマは「デジタルツインを活用して消防活動等のシミュレーションを高度化したい」で、同社はすでに東京消防庁との協働プロジェクトを開始しています。

デジタルツインで消防活動の検証環境を高度化
消防活動では、火災の状況や建物の構造といったさまざまな条件を踏まえた判断が必要になります。ただし、実際の火災現場を再現して訓練や検証を行うには、安全面や実施環境の制約があります。こうした課題に対し、現実空間をデジタル上に再現するデジタルツインは、実環境では再現が難しい条件を仮想空間で設定して分析・検証する手段として期待されています。
東京都の「現場対話型スタートアップ協働プロジェクト」は、都政の現場が抱える課題をスタートアップの技術や知見で解決しようとする取り組みです。今回、東京消防庁は消防活動等のシミュレーション高度化をテーマとし、スペースデータが協働企業に選ばれました。
NVIDIA OmniverseとFDSを連携
プロジェクトでは、NVIDIA Omniverseを活用したデジタルツイン基盤を開発・導入し、火災解析シミュレータ「Fire Dynamics Simulator」(FDS)などとの連携を進めます。NVIDIA Omniverseは3D空間の構築やシミュレーションを支援する技術基盤で、FDSは火災に伴う熱や煙の挙動などを解析するシミュレーションソフトウェアです。両者を連携させて火災の解析結果を3D空間と結びつけ、消防活動等の状況をより直感的に把握・検証できる環境の構築を目指します。
プロジェクトの概要は次のとおりです。
- 対象事業:令和8年度 現場対話型スタートアップ協働プロジェクト
- 対象部局:東京消防庁 安全推進部 消防技術研究開発センター
- 課題:デジタルツインを活用した消防活動等のシミュレーション高度化
- 実施内容:FDS等と連携するNVIDIA Omniverseを活用したデジタルツイン基盤の開発・導入
- 採択企業:株式会社スペースデータ

エンジニアが現場に入る「FDE」型の開発
スペースデータが重視しているのは、FDE(Forward Deployed Engineer)と呼ばれるアプローチです。エンジニアが顧客の現場に入り、業務上の課題を直接理解しながら解決策の開発・実装を進める手法で、技術面では同社の統合技術プラットフォーム「PROVIDENCE」がこれを支えています。
今回のプロジェクトでは、Palantir Technologiesが提唱するFDEの考え方に基づき、デリバリーチームの西井大智氏が東京消防庁の現場で開発に取り組んでいます。訓練の視察や職員へのヒアリングに加えて執務室にも足を運び、日常業務を理解するなかで、訓練シナリオの作成に時間や手間がかかるという課題に着目しました。
この課題に対し、PROVIDENCEの技術資産とFDSを組み合わせて、訓練シナリオの作成を支援するアプリケーションを試作しました。職員に実際に操作してもらいながら画面や機能をその場で改善するなど、現場との対話を開発に反映しています。こうした現場での検証を重ね、実務に即したシミュレーション環境の構築を目指します。同社は、プロジェクトで得た知見を今後の技術開発にも活かすとしています。

消防・防災から都市インフラ、公共安全へ
スペースデータは「PROVIDENCE」を通じて、デジタルツイン、フィジカルAI、ロボティクスなどの技術を組み合わせ、現実世界の理解・分析・シミュレーションを支える技術基盤の開発を進めています。今回のプロジェクトは、こうした技術を消防活動という具体的な行政課題に活用する取り組みです。今後も消防・防災をはじめ、都市インフラや公共安全などの分野で現場の課題に寄り添った技術開発を進め、先端技術の社会実装に貢献していく方針です。
同社は「宇宙の民主化」を使命に掲げ、宇宙をはじめとするあらゆる空間の知能化(MAKE SPACE INTELLIGENT)に取り組むテクノロジースタートアップです。空間を情報化し、AIに物理を学ばせ、機械が自律的に動けるようにする「空間知能」の技術を活用して、宇宙開発から都市開発、防災、安全保障まで、次の未来を支えるデジタルプラットフォームの構築を国内外で進めています。
出典:株式会社スペースデータ