福岡を拠点とする宇宙開発企業、株式会社QPS研究所は、小型SAR衛星QPS-SAR20号機「ワダツミ-Ⅱ」が打ち上げられ、初交信に成功したと発表しました。衛星の各機器は正常に作動しており、健康状態が良いことも確認されています。

打ち上げから初交信までの流れ
「ワダツミ-Ⅱ」を搭載したのは、ロケット・ラボ社のロケットElectronです。2026年11月3日(火)午前1時41分(日本時間)、ニュージーランド・マヒア半島の発射場Launch Complex 1から打ち上げられました。ミッションネームは“The Sea God Surveys / 海の神が見渡す”です。
衛星は打ち上げから約50分後にロケットからの分離に成功しました。さらに分離から約30分後には、「ワダツミ-Ⅱ」との初交信にも成功しています。QPS研究所は今後も調整を続け、アンテナの展開と初画像の取得を目指すとしています。
Electronの次の打ち上げでも、同社の衛星が予定されています。QPS-SAR19号機「ヤマツミ-Ⅱ」の打ち上げミッション“The Mountain God Defends”で、11月14日以降に打ち上げられる予定です。

「QPS-SAR」の特徴と目指す観測サービス
SAR(合成開口レーダー)は、電波を使って地表の画像を得るレーダーです。雲や噴煙を透過し、昼夜を問わず観測できる点が特長です。
QPS研究所は、収納性が高く軽量でありながら大型となる展開式アンテナ(特許取得)を開発しました。このアンテナで強い電波を出せるようになったことで、従来のSAR衛星と比べて20分の1の質量、100分の1のコストとなる高精細小型SAR衛星「QPS-SAR」の開発に成功しています。画像の分解能は46cmで、民間SAR衛星として世界トップレベルです。
同社は2028年5月末までに24機を投入し、2030年にはさらに機数を増やした大規模衛星コンステレーションを構築する計画です。コンステレーションとは、複数の人工衛星で高頻度な地球観測を可能にするシステムを指し、「星座」を意味する言葉です。これにより、平均10分間隔という準リアルタイムの観測データ提供サービスを目指しています。

打ち上げを担うロケット・ラボ社と、QPS研究所の歩み
ロケット・ラボ社
ロケット・ラボ社は2006年に設立され、カリフォルニア州ロングビーチに本社を置くロケット開発会社です。2018年1月にElectronの最初の打ち上げを行って以来、Electronは米国で年間2番目に打ち上げ回数が多いロケットとなりました。これまでに民間および公的機関の200機以上の衛星を軌道に投入しています。
- ニュージーランドに2つの発射台
- バージニア州に2つの発射台
- 合計4つの発射台を所持
QPS研究所
QPS研究所は2005年6月に福岡で創業されました。社名のQPSは「Q-shu Pioneers of Space」の頭文字で、九州宇宙産業の開拓者となり、九州から日本と世界の宇宙産業の発展に貢献したいという思いが込められています。九州大学での小型人工衛星開発の技術をベースに、国内外で衛星開発やスペースデブリへの取り組みに携わってきた名誉教授陣と、若手技術者・実業家が一緒に宇宙技術開発を進めています。
事業は、創業者たちが宇宙技術を伝承・育成してきた北部九州を中心とする、全国25社以上のパートナー企業に支えられています。本社は福岡市中央区長浜1-1-1 KBCビル8階、代表者は代表取締役社長 CEO 大西俊輔氏です。人工衛星、人工衛星搭載機器、精密機器、電子機器ならびにソフトウエアの研究開発、設計、製造、販売を手がけています。
出典:株式会社QPS研究所