DX・テクノロジー NEW

大林組、建築現場に「蔵衛門」を全社導入 工事写真を「情報資産」に変える狙いとは

大林組、建築現場に「蔵衛門」を全社導入 工事写真を「情報資産」に変える狙いとは DX・テクノロジー

株式会社ルクレが提供する建設DXプラットフォーム「蔵衛門」が、株式会社大林組の建築現場に全社導入された。今回の導入により、工事写真を単なる“提出書類”から、現場の知見が詰まった“高密度な情報資産”へと変換する。データを蓄積・活用することで、技術継承と施工品質の標準化を推進する。

大林組、建築現場に「蔵衛門」を全社導入 工事写真を「情報資産」に変える狙いとは

現場の負担と運用差という課題

大林組は「データ流通」「情報の一貫利用」「標準化」を掲げ、全社でDXを推進している。その中で、現場で最も高頻度に生み出される工事写真は、熟練者の判断や工夫が詰まった高密度なデータとして重要視されている。

一方で、これまでは写真の撮影・整理にかかる現場の作業負担や、協力会社との情報共有で生じるタイムラグが課題だった。また、現場ごとに運用が異なるため、貴重な知見やデータが全社へ波及しにくい側面もあった。そこで、現場レベルの業務効率化と全社的なデータ資産化の両立に向け、直感的な操作性と強固な共有基盤を持つ『蔵衛門クラウド』の活用推進が決定された。

大林組、建築現場に「蔵衛門」を全社導入 工事写真を「情報資産」に変える狙いとは

一次情報を資産に変える3つの運用

導入にあたっては、現場の一次情報を「情報資産」へ変えるため、次の3つの運用が柱となっている。

  • リアルタイム共有&自動台帳化:撮影した写真は即座にクラウドへ集約され、AIが自動で整理・台帳化する。最新の現場状況が画面上で可視化されるため、担当者・担当業者から事務所・支援部署へ迅速に共有でき、現場の判断を加速させる。
  • 電子黒板の資産継承:優良工事のフォルダ構成や黒板を新規現場へそのまま展開する。熟練者の「管理のノウハウ」を正解の型として継承することで、若手でも迷わず正しい基準で記録できる。
  • アクセス権限:フォルダごとに適切な権限を設定し、協力会社には担当範囲を共有する。大林組の標準ルールに沿って協力会社からの情報を集められるため、全社での施工品質を維持する。
大林組、建築現場に「蔵衛門」を全社導入 工事写真を「情報資産」に変える狙いとは

全社展開を支えるSSO連携

大手ゼネコンがクラウドを導入する際、最大の課題となるのが「厳格なセキュリティガバナンス」の確保と「現場の導入障壁の軽減」の両立だ。この2つを両立するため、Microsoft Entra IDによるSSO(シングルサインオン)が構築された。

社内統合IDで認証とアクセス制御を一元的に行うことで、現場での個別ID発行やログイン操作の手間を削減した。セキュリティリスクを最小限に抑えながら、全国の工事現場へ『蔵衛門クラウド』をスムーズに横展開・定着させる運用環境を実現している。

大林組、建築現場に「蔵衛門」を全社導入 工事写真を「情報資産」に変える狙いとは

大林組の担当者の声と今後の展望

大林組 建築本部 デジタル・テクノ企画部 部長の小島健司氏は、協力会社を含めたプロジェクトのメンバーとリアルタイムで情報共有でき、“ひとり作業”の解消と現場の負担削減を実感しているとコメントしている。また、「蔵衛門」ならではの直感的な操作性により教育コストがかからない点も、現場への浸透を期待できるポイントに挙げた。同社 DX本部 高度デジタルソリューションセンター 先進技術部 先進技術課 係長の西田拓也氏は、「蔵衛門」の“写真を軸にデータを資産化する”思想が同社のDXビジョンと深く共鳴し、導入を決めたと語る。写真をきっかけに施工データを蓄積・構造化することで、全社的なデータ活用推進に役立つと考えているという。

「蔵衛門」は今後、工事写真データの活用領域をさらに広げていく。BIMデータと連携した配筋検査のデジタル化や、ウェアラブルカメラを用いた安全管理の可視化など、先端技術との統合を推進する。工事写真を起点とした建設DXプラットフォームとして、現場の業務効率化にとどまらず、業界全体の品質管理と生産性の高度化への貢献を目指す。

「蔵衛門」は、1998年に発売された台帳作成ソフト『蔵衛門御用達』によって、写真管理に忙殺される現場監督の負担を軽減してきた。発売以来、大手ゼネコンから小規模工務店まで導入されている。2014年には、建設業界が推奨する“電子黒板”を搭載したタブレット『蔵衛門Pad』を発売し、国土交通省が定めるNETIS(新技術情報提供システム)で最高評価(VE)を獲得している。さらに、建設業への残業規制を背景に、2022年4月からは現場アプリ・共有クラウド・パソコンソフトをプラットフォーム化した『蔵衛門プレミアム』の提供を始めた。現場の誰もが関わる工事写真を起点とすることで、現場監督ひとりに集中していた作業を分担できる。

出典:株式会社ルクレ

この記事を書いた人

webmaster

ビジネス・経済を軸に、経営・マーケティング・DX・キャリアの実務に役立つ情報を発信しています。