有利子負債ランキング上位企業
有利子負債ランキングの1位はトヨタ自動車で、その額は43兆2,054億円に達しました。2位にはソフトバンクグループ(24兆6,851億円)、3位には日本電信電話(15兆7,116億円)が続き、上位6社は前回調査と同じ順位を維持しています。
ランキング上位20社のうち17社が前回調査から引き続きランクインしており、多額の有利子負債が一時的なものではなく、継続的に保有されている実態が示されています。業種別では、通信業が4社、自動車製造業と総合リース業がそれぞれ3社、電気業、鉄道業、総合商社がそれぞれ2社ランクインしており、インフラ整備などに大規模な設備投資を要する装置産業で多額の資金調達が行われていることがうかがえます。特に、総合リース業、鉄道業、電気業、通信業では、有利子負債が年商を上回る傾向が強く見られます。
上位20社のうち18社で有利子負債が前期比増加しており、ランキング上位企業において有利子負債残高がさらに積み上がっている状況が確認できます。

借入増加の要因は各社の事業規模、事業構造、成長投資の内容によって異なります。例えば、トヨタ自動車は売上高50兆円を超える事業規模に加え、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)のための設備増強、および金融事業における借入増加が主な要因とされています。ソフトバンクグループや日本電信電話では、AI事業への投資やデータセンターの拡充といった大規模な成長投資が有利子負債増加の要因と考えられます。これらのことから、上位企業の有利子負債は、単純な借入依存度を示すだけでなく、本業の事業規模や金融事業の有無、成長投資の規模など、各社の事業構造が反映されているといえます。

財務健全性の分析
有利子負債が増加する中でも、上位企業の財務健全性は概ね維持されていることが示されています。現預金回転期間、借入依存度、自己資本比率の3つの安全性指標を用いた分析では、リスクモンスターが設定する高リスク水準(現預金回転期間1か月未満、借入依存度50%超、自己資本比率20%未満のいずれかに該当)に該当した企業は、トップ20社中6社に留まりました。
高リスク水準に該当した「三菱HCキャピタル」と「東京センチュリー」はともに総合リース業であり、リース用資産の購入資金を借入で調達する事業特性上、事業規模の拡大に伴い借入金が過大になりやすい背景があります。これらの企業を除けば、現預金の保有状況や財政バランスの観点から、財務安全性に大きな問題がある企業は少ないと分析されています。
また、前期と比較して「現預金回転期間」と「借入依存度」が良化した企業が半数以上を占め、3つの指標すべてが悪化した企業は20社中1社のみでした。これは、有利子負債が増加している状況下でも、企業の財務状態の安全性が大きく損なわれることなく、健全な水準が保たれていることを示しています。

収益力とキャッシュ創出力
有利子負債ランキングの上位企業は、高い収益力とキャッシュ創出力も有していることが確認されました。トップ20社のうち11社がEBITDAランキングに、13社が営業キャッシュフローランキングにランクインしています。


これは、借入によって調達した資金を事業に投下し、リスクを取りながらもそれに見合う大きなリターンを獲得している状況を示唆しています。特に、有利子負債が43兆円に達するトヨタ自動車は、売上高、営業キャッシュフロー、EBITDAのいずれの指標でも上位に位置しており、借入金を事業成長や収益、キャッシュ創出に効果的に繋げている状況が表れています。
総評
今回の調査結果は、借入金が必ずしも負の側面ばかりではないことを示しています。有利子負債ランキングの上位企業は、多額の借入金を抱えながらも、財務健全性を維持し、事業成長や収益力の向上に繋げている企業が多いことが明らかになりました。借入金は、自己資本だけでは十分な成長が見込みにくい場合に、財務レバレッジを効かせ企業成長を促進するための重要な手段となり得ます。
日本を代表するこれらの上位企業は、借入金の目的を効果的に果たしているといえます。一方で、中小・零細企業においては、借入を行った結果が事業成長や収益に結びつかず、財務安全性の低下を招く悪循環に陥るケースも少なくありません。本調査結果は、企業が借入金を事業成長の源泉としているのか、あるいは財務安全性のウィークポイントとなっているのかを分析する上での参考情報として活用できるでしょう。
リスモン調べとは
リスモン調べは、リスクモンスターが独自に実施する調査レポートシリーズです。これまでに「100年後も生き残ると思う日本企業調査」や「環境への配慮が感じられる企業調査」などを発表しており、企業活動に関する様々な切り口の調査を通じて、企業格付の更新や情報発信、新サービスの開発に取り組んでいます。

関連情報
本調査の詳細は、以下のウェブサイトからもご覧いただけます。
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