中小企業の賃上げ実態と経営負担、税制認知度に関する調査結果
フォーバル GDXリサーチ研究所は2026年7月31日、「BLUE REPORT[8月-2号] 中小企業の経営状況の変化への対応<2>~賃上げの実態と持続的な賃上げに向けた課題~」を発行しました。このレポートは、全国の中小企業経営者1,653人を対象に実施された調査に基づいています。
近年、物価上昇や深刻な人手不足を背景に、賃上げの動きが経済界で広がっています。大企業では高水準の賃上げが続く一方で、雇用の約7割を支える中小企業では、賃上げ原資の確保が課題となるケースも少なくないと考えられます。政府も最低賃金の引き上げや賃上げ促進税制などを通じて賃上げを後押ししており、この流れは今後も続くと見込まれます。

賃上げ実施企業は6割超も、約6割が経営負担を実感
今回の調査では、中小企業の63.3%が何らかの形で賃上げを実施していることが明らかになりました。内訳は、「2025年1月以降に実施している」が21.0%、「2025年以前から実施している」が42.3%です。前回調査の66.3%からは3.0ポイント低下したものの、依然として6割を超える企業が賃上げに取り組んでいます。
一方で、「実施していない」と回答した企業は36.7%となり、前回調査の33.7%から3.0ポイント上昇しました。約3社に1社は賃上げを実施しておらず、物価高や人材確保の重要性が高まる中でも、すべての企業が継続的に賃上げを実施できる状況には至っていない実態が示されています。

賃上げを実施する企業に、それが経営にどの程度負担になっているかを尋ねたところ、57.8%が負担を感じていると回答しました。具体的には、「大きな負担になっている」が12.1%、「やや負担になっている」が45.7%です。
負担を感じると回答した企業に具体的な経営面への影響を聞くと、「人件費負担の増加」が89.9%と最も多く、「営業利益の減少」が74.9%、「広告費や設備投資など他予算への圧迫」が43.8%と続きました。短期的には賃上げが利益を圧迫する一方で、従業員のモチベーション向上や人材の定着、生産性向上につなげられるかどうかが、中長期的な収益構造改善の鍵となると考えられます。

賃上げ促進税制、約半数が「知らない」と回答
賃上げを実施している企業に「賃上げ促進税制」の活用状況を尋ねたところ、48.5%が「制度を知らない」と回答しました。この税制を「活用している」企業は9.2%にとどまり、「活用を検討している」9.9%を合わせても2割に満たない結果となっています。賃上げを実施している企業においても、制度が十分に浸透しているとは言えない実態がうかがえます。
持続的な賃上げを後押しするためには、売上拡大や価格転嫁、業務効率化などによる原資確保に加え、公的支援の認知・活用を広げることが重要です。制度の対象要件や活用方法を含め、より一層の周知が求められます。

まとめと今後の展望
本レポートでは、物価上昇や深刻な人手不足を背景とした企業の関心が高まる「賃上げ」について、中小企業の実施状況や効果、持続的な賃上げに向けた課題が調査・分析されました。賃上げを実施する理由としては、「従業員の定着率や満足度を高めるため」が最も高く、人材確保や雇用維持、従業員のモチベーション向上を目的に進められている傾向が見られます。
しかし、持続的な賃上げに向けては、原資の確保と経営負担が大きな課題です。賃上げ実施企業のうち、原資を「十分に確保できている」と回答した企業は1割程度にとどまり、賃上げを経営上の負担と感じる企業も約6割に上りました。この状況を改善するためには、売上拡大や適正な価格転嫁、業務効率化によるコスト削減に加え、高付加価値の商品・サービスへの転換などを通じて、「本業で稼ぐ力」を高めることが求められます。
また、賃上げ促進税制については、賃上げを実施している企業でも「制度を知らない」との回答が約5割を占めました。中小企業が前向きに賃上げへ対応していくためには、企業自身の収益力強化に加え、税制や補助金・助成金、取引適正化などの公的支援を総合的に活用しながら、中長期的な戦略に基づいて取り組みを進めることが重要です。
本レポートの詳細は、以下のURLから確認できます。
http://gdx-research.com/wp-content/uploads/2026/07/bluereport_202608-2.pdf
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