
物流システムにマスタとMR情報を取り込む
ゼロシステム株式会社は、院内物流管理システム「ZERO Supply」に、メディエ株式会社の医療材料データベース「メディエ」に含まれるマスタデータ「メディエ・データ」と、医療機器のMR適合性検索システム「Nextant」を連携する仕組みを開発した。2026年9月から、社会医療法人財団慈泉会 相澤病院(長野県松本市)で先行導入している。
狙いは、手術などで使う医療材料の登録・記録と、MRI検査の前に必要な体内留置機器の確認を、電子カルテと同じ院内ネットワークの中で扱えるようにすることにある。別のオンライン環境で調べ、紙や院内システムへ写していた作業を減らす。

インターネットに出られない現場の確認負荷
医療機関が院内物流システムを電子カルテと同一のネットワークで動かす場合、外部インターネットには接続できない。ウェッブメディエ、各社のオンライン医療材料マスタ、MR安全性情報はインターネット経由で提供されるため、物流システムの画面から直接参照できず、担当者は別環境で内容を確認して転記していた。
持ち込み品など、院内マスタに登録されていない医療材料を使うと、使用後に製品情報を確かめたうえで、物流システム、電子カルテ、医事システムへ登録する作業が生じる。材料を多く使う手術では、紙の記録の抜け漏れと、使用後のデータ入力が課題になっていた。
MRI検査でも、患者の体内に留置されたペースメーカー、ステント、整形外科用インプラントについて、MR適合性や検査時の使用条件を事前に確認する必要がある。機器の種類や留置された時期、検査の可否を把握するため、患者への聞き取り、関係医療機関への照会、添付文書の確認に時間を要することがある。

GS1読み取りと、患者単位のMR安全性確認
今回の連携では、GTIN情報を含むメディエ・データ全件をZERO Supplyに取り込み、院内に保持する。医療材料のGS1コードを読み取ることで各種マスタへの登録と使用記録を支援し、物流システムから電子カルテ、医事システムまで一連の流れで登録できる環境を整える。情報をシステム内に置くため、外部インターネットへ接続できないネットワークからでも参照できる。
使用した材料は、患者、症例(術式など)、ロット番号・シリアル番号と関連付けて記録する。リコールが発生した際には、対象製品がどの患者に使われたかを確認しやすくする。
Nextantとの連携では、ZERO Supplyで患者に使用した医療機器と、Nextantに搭載されたMR安全性情報の全件を関連付けて参照できる。確認できるのは、MR Safe、MR Conditional、MR Unsafeの区分と、検査時の使用条件だ。安全性情報もZERO Supply内に保持する。確認画面は電子カルテから患者IDを引き継いで起動でき、院内で使用した機器に加え、他院などで留置された機器も、製品名、型番、商品コード、JANコードなどから検索して登録できる。
相澤病院は従来、紙伝票やカードで物流を管理しており、在庫やロット番号、有効期限の把握が課題だった。ZERO Supplyの導入によって物流を電子化し、在庫の可視化と適正な定数管理を進めている。同院は、手術などで使った医療材料の記録からMRI検査前の安全確認までを一つの流れでつなぎ、職員が確認や転記に費やしていた時間を患者と向き合う時間に充てること、より正確な記録を通じて患者の安全を支える物流管理につなげることを期待している。
メディエは、体内埋め込み型医療機器(IMD)が留置されている患者にMRI検査を行う際、機器とMR適合性を正確かつ迅速に確認する必要があるとし、使用した段階から患者と機器を登録・管理してNextantの情報と関連付ける点を挙げている。ゼロシステムは、部門をまたぐ情報管理の手間を解くため構想してきた連携を、メディエの協力で形にしたとしている。今後は相澤病院での運用から得た知見をもとに、医療材料管理とMRI検査前の確認を支える機能を改善していく。