東証要請が問う経営管理体制と企業の課題
東京証券取引所(以下「東証」)は2023年3月31日、プライム市場・スタンダード市場の全上場会社に対し「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しました。この要請は、自社の資本コストや資本収益性を把握し、取締役会で分析・評価すること、改善に向けた方針を策定し開示すること、そして計画に基づき経営を推進し投資家と対話することの3段階を継続的に実施するよう求めるものです。
東証が求めるのは、資本コストそのものの引き下げではなく、ROIC・ROEといった資本収益性の実績値を資本コストと比較できる経営管理体制の構築にあります。2026年2月末時点で、プライム市場の93%、スタンダード市場の51%の企業が開示を実施していますが、PBR1倍割れの企業はプライムで27%、スタンダードで49%、ROE8%未満の企業はプライムで43%、スタンダードで60%と、依然として高い水準にあります。
こうした状況を受け、東証は2026年4月28日に要請内容をアップデートし、「経営資源の適切な配分」を中心とした投資家の期待や取り組みのポイントを新たにまとめました。また、コーポレートガバナンス・コードに基づく独立社外取締役の選任強化や、2025年7月からのIR体制整備義務化など、経営の実効性を高めるための関連制度も段階的に強化されています。
これらの動きにより、企業は従来のPL中心の経営管理に加え、BSやCFを含めた管理体制、そしてROIC・ROEを資本コストと比較・開示できる体制整備が強く求められています。
関連リンク:
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日本取引所グループ「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」(2023年3月31日) https://www.jpx.co.jp/news/1020/20230331-01.html
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東京証券取引所「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」通知文書(2023年3月) https://www.jpx.co.jp/equities/follow-up/nlsgeu000006gevo-att/cg27su00000041xg.pdf
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東京証券取引所「『資本コストや株価を意識した経営』に関する4年目の取組み」(2026年4月7日 市場区分の見直しに関するフォローアップ会議第27回資料) https://www.jpx.co.jp/equities/follow-up/jr4eth0000004vj2-att/t13vrt0000013v5w.pdf
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日本取引所グループ「『資本コストや株価を意識した経営』に関する要請のアップデートについて」(2026年4月28日) https://www.jpx.co.jp/news/1020/20260428-01.html
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日本取引所グループ 市場区分の見直しに関するフォローアップ会議資料(2025年10月21日) https://www.fsa.go.jp/singi/revision_corporategovernance/siryo/20251021/05.pdf
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東京証券取引所 市場区分の見直しに関するフォローアップ会議資料(2025年9月2日) https://www.jpx.co.jp/equities/follow-up/nlsgeu000006gevo-att/um3qrc0000022flw.pdf
Diggleが行った自社調査では、資本効率指標を導入・目標化したきっかけとして「東証要請」(37.5%)、「株主・投資家からの要望」(34.4%)など、外部からの要請・影響が上位を占めています。一方、「以前から継続して管理しており、特定のきっかけはない」という自主的な取り組みは12%にとどまり、多くの企業にとって資本効率指標への対応が外部からの影響を起点に始まっている実態がうかがえます。

資本効率の重要性は、おむすび屋の例で理解を深めることができます。同じ利益を上げているA店とB店があった場合、投じた元手に対する利益の割合(資本効率)を比較すると、元手が少ないB店の方が効率的な経営をしていると評価できます。実際の企業経営はより複雑であり、PL・BS・CFを継続的に把握することで初めて資本効率を正確に評価できますが、多くの企業ではExcel管理への依存や手入力、更新漏れのリスクを抱えている実態が明らかになっています。
また、経営企画や財務・経理といった本社側と、事業部長クラスの現場側とで、日頃見ている数字の粒度にギャップがあることも課題として挙げられます。経営陣が資本効率を重視しているにもかかわらず、その意図や判断材料が現場まで届いていないという構造的なギャップが、Diggleの自社調査でも裏付けられています。資本効率指標を目標として管理していない非経営層の回答者のうち76.2%が、その理由として「経営層から求められていない」と回答しています。

新機能の概要:三表連動から資本効率まで一気通貫でシミュレーション
今回リリースされた新機能では、以下の3つを実現します。

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PL・BS・CFの三表連動によるシミュレーション
PL・BS・CFの三表が連動することで、メンテナンスコストを削減し、キャッシュの動きまで含めたシミュレーションが可能になります。個別に管理・更新する必要があったBSやCFを、PLの予実管理と同じ枠組みの中で自動的に反映できます。 -
勘定科目より細かい単位で指標を自動計算
勘定科目単位よりも細かい項目で資産を管理し、売上や利益を個別の資産に紐づけることができます。これにより、事業や商品ごとの資本効率性を具体的に把握できるようになります。 -
事業部レベルまでブレイクダウンした指標ツリーでの予実管理
全社のROICを、事業別・商品別・拠点別の資産回転率までブレイクダウンしたツリー構造で管理できます。経営企画やCFOだけでなく、事業部の現場担当者が自ら実行可能な粒度で指標を追いかけ、改善に向けたアクションにつなげられる設計です。
想定される導入効果と今後の展望
本機能の導入により、企業は次のような変化を期待できます。
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BSやCFの管理に追加工数をかけることなく、資本効率までを含めた経営管理体制を構築できる。
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経営陣が求めるROIC・ROEといった指標を、事業部が日々コントロールできる具体的な数字にブレイクダウンして共有できる。
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属人化していたシミュレーションや表計算ソフトへの依存から脱却し、指標改善に向けた分析・示唆出しを組織全体で行えるようになる。
Diggleの自社調査では、資本効率指標の運用における課題として「データ収集に時間がかかる」(41.2%)、「B/S計画の作成が難しい」(38.2%)が上位を占めており、本機能はこれらの課題解決に貢献することが期待されます。

ディグル株式会社は今後も、「Dig the Potential テクノロジーで、企業の成長可能性を掘り起こす」をミッションに、企業のありたい姿の実現とコーポレートガバナンス改革の実践を、経営管理基盤の面から支援していく方針です。
「Diggle」およびディグル株式会社について
「Diggle」は、ヒト・モノ・カネの最適配分を支えるプロダクトシリーズと、企業の経営ステージを進化させる伴走型経営コンサルティングサービスを提供しています。予実管理を中核に、人員や設備投資など全社領域から、売上予実・リベートなど業界特有の管理領域まで幅広く網羅し、「FP&Aエージェント®」をはじめとするAIを通じて経営の意思決定を高度化します。上場企業やエンタープライズ企業を中心に導入されています。
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ディグル株式会社は、「Dig the Potential テクノロジーで、企業の成長可能性を掘り起こす。」をMissionに掲げ、ヒト・モノ・カネの最適配分を支えるプロダクトシリーズと伴走型の経営コンサルティングサービスを提供しています。「経営の動脈になる。━━組織に数字と意思を張り巡らせ、未来を動かす循環をつくる。」をCorporate Visionとし、経営管理市場を牽引する企業として成長に貢献しています。
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