M&A件数の動向と背景
例年7月はM&A件数・金額ともに年内で最も落ち込む時期とされていますが、2026年7月は前年同月(83件)から大幅に増加しました。この件数増加の背景には、企業の資本効率向上やコア事業への集中を図る動きが継続していることが挙げられます。
また、海外企業とのクロスボーダーM&Aも件数の押し上げに寄与しました。クロスボーダー案件は前年同月比9件増の21件で、日本企業が買い手となるアウトバウンドが12件、海外企業が買い手となるインバウンドが9件でした。
取引総額の推移
2026年7月の取引総額は4576億円で、前年同月比で約46%減少しました。日本郵船によるNSユナイテッド海運のTOBや、フューチャーのMBOなど1000億円を超える大型案件が複数あったものの、全体としては小規模な案件が目立ったため、総額は減少傾向となりました。
注目された主なM&A案件
2026年7月に公表されたM&Aの中から、取引総額上位3件は以下の通りです。
第1位:日本郵船によるNSユナイテッド海運の子会社化(1,568億円)
日本郵船は、持ち分法適用関連会社でありドライバルク船に強みを持つNSユナイテッド海運をTOB(株式公開買い付け)により子会社化します。買収総額は1568億円です。
第2位:キーウェスト・ネットワークによるフューチャーのMBO(1,298億円)
ITコンサルティングを手がけるフューチャーは、MBO(経営陣が参加する買収)により株式を非公開化します。金丸恭文会長の資産管理会社であるキーウエスト・ネットワークが買い付け主体となり、TOBを実施。買付総額は1298億円です。AI(人工知能)の登場によりITコンサルティングやシステム構築のあり方が大きく変化していることを背景に、会社全体の業務プロセスの見直し、AI人材の獲得、先端技術への開発投資の必要性から非公開化が選択されました。
第3位:日本郵船による英国MidOcean Energyへの出資(361億円)
日本郵船は、LNG(液化天然ガス)事業会社の英国MidOcean Energyに対し第三者割当増資を引き受け、子会社化します。これにより、LNGバリューチェーンの拡大を図り、LNG海上輸送に関する戦略的パートナーシップを締結する予定です。
M&A市場の今後
2026年7月は、件数では過去最多を記録し、企業の事業再編や成長戦略の一環としてのM&Aが活発に推移していることが示されました。特に、資本効率向上やコア事業への集中、クロスボーダー取引の増加が件数を押し上げる要因となっています。一方で、取引総額は大型案件に左右される傾向が見られ、今後も個別の案件規模が全体の金額に影響を与えるでしょう。
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