NTTドコモビジネスX株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:稲葉 秀司)は、「MDM(マスターデータ管理)実態調査」の結果をまとめました。調査の対象は、従業員数500名以上の企業・団体でマスターデータ管理などに関わる562名です。顧客・製品・取引先といった企業活動の基本となる「マスターデータ」について、公式システムの外で部門や担当者が管理しているデータを「シャドーマスタ」と呼び、その実態や、AI活用の場面でのデータの課題、MDMに取り組むきっかけを調べています。

回答者の75.6%が、シャドーマスタが「存在する、またはおそらく存在する」と回答
顧客・製品・サプライヤーなど7種類のマスターについて、全回答者562名に主な管理方法を聞いたところ、最も多かったのは「ERPやCRM等の基幹系システムで一元管理」でした。自社独自のマスターを除く6種類では、マスターごとに35.6~45.0%を占めています。
一方で、7種類のうち1つ以上のマスターがある517名のうち、いずれかのマスターでシャドーマスタ(設問では「非公式データ管理ファイル」)が「明らかに存在する」または「おそらく存在すると思うが、全容は把握していない」と答えた人は75.6%に達しました。マスター別では顧客マスターが68.2%で最も高く、「明らかに存在する」だけで42.5%でした。主な管理方法として基幹系システムでの一元管理を選んだ人に限っても、そのマスターでシャドーマスタが存在する、またはおそらく存在すると答えた人は74.4%です。なお、74.4%は自社独自のマスターを除く6種類のうち基幹系で一元管理しているマスターが1つ以上ある332名が対象で、75.6%とは集計範囲が異なるため、2つの値は比較できないとされています。
シャドーマスタが存在する背景(複数回答)では、次の3つがどのマスターでも上位3項目に入り、割合は28.4~38.6%でした。
- 公式システムへの入力が煩雑なため、現場が独自に作成した
- 公式システムに必要な項目が揃っていないため、補完として作成した
- 部門独自の業務フローに合わせて作成した

顧客マスターでは不整合と引き継ぎが課題に
顧客マスターにシャドーマスタがある339名に、起きている問題を複数回答で尋ねると、「公式システムのデータとの不整合が生じている」(26.3%)と「担当者の異動・退職で内容の引き継ぎが困難になった」(25.7%)が上位2項目となり、どちらも約4人に1人が挙げました。ただし「特に問題は発生していない」も23.9%あり、顧客マスター以外の5種類ではこの回答が最も多く、25.2~27.8%でした。
データの不整合や非公式データの管理に対処する作業(確認・名寄せ・整合など)にかかる時間も、マスターごとに選択式で尋ねています。各選択肢に代表値を置き、シャドーマスタがある回答者のうち「把握・推計が難しい」を除く315名の回答から推計した結果、全マスターの合計で、回答の平均は月47.9時間相当となりました。これは回答者の見積もりにもとづく推計値で、設問では回答者本人の作業か部門全体の作業かを指定していないため、1人あたりの作業時間とは限らないとしています。

AI活用の壁として浮かぶ「データの信頼性」
AI(機械学習・生成AIを含む)を本番業務で活用している人は全回答者562名のうち74.9%で、PoC(概念実証)・試験導入の段階を含めると85.1%でした。この478名に、データに関して直面した問題を複数回答で尋ねた主な結果は次のとおりです。
- AIの出力結果が正確かどうか検証できなかった(データが信頼できない):32.2%
- 複数システムのデータ統合・名寄せの前処理に予想以上の工数がかかった:31.0%
- 現場の非公式データ(Excel等)が混在し、AI・分析活用の障壁になった:19.2%
MDMに取り組もうと思ったきっかけについては、現時点で取り組む予定がない人と何から始めればよいかわからない人を除く480名に尋ねました。最多は「データの不整合が原因で、組織横断のデータ分析や業績評価指標の算出などに支障をきたしたため」(35.2%)で、「基幹システムの再構築・刷新の機会にマスターを統合・再構築することになったため」(27.1%)、「データの不整合が原因で、AIをうまく活用できなかったため」(26.0%)、「データの不整合が原因で、業務品質、業務効率に問題が生じたため」(21.7%)が続きます。上位4項目のうち3項目が「データの不整合が原因で」で始まる選択肢でした。

独自モデルで見るMDMの到達段階
調査では、マスターデータ管理の状態を第0段階から第5段階までの6段階で表す独自の「MDM高度化モデル」を用い、全回答者562名に自社に最も近い段階を1つ選んでもらいました。結果は以下のとおりで、第4段階と第5段階を合わせると17.3%です。
- 第0段階(MDM問題非認知期):不整合等の可能性はあるが、問題は生じておらず対策予定なし/23.1%
- 第1段階(MDM対策検討期):不整合等により問題が生じているが、まだ対策していない/28.5%
- 第2段階(MDM整備開始期):特定のマスターで定義・コード体系・ルールの整合を開始/19.0%
- 第3段階(MDM整備完了期):複数のマスターで整合が進み、システム間のデータ統合が一部実現/12.1%
- 第4段階(MDM活用期):主要マスターに全社統一の管理体制があり、AI・分析へ信頼してデータを投入/7.8%
- 第5段階(MDM高度定着期):マスターデータ管理が組織文化として定着し、品質の改善サイクルが機能/9.4%
このモデルは本調査で独自に定義したもので、業界標準の成熟度モデルではなく、段階の高低は優劣を示すものではないとしています。また設問には「わからない場合は、一番上の選択肢をお選びください」との注記があり、第0段階にはわからないためにこの選択肢を選んだ人も含まれる可能性があります。
同社データマネジメントソリューション部のMDMエバンジェリスト、水谷 哲氏は、マスターは業務ルールであり集計項目でもあると説明します。正しいマスターは多くの調査と熟考とチェックによって作られ、同氏が見てきた現場では、その多くをExcelと担当者の工夫が支えているといいます。そのうえで、BIもAIもデータ品質次第とされるなか、マスターの外にあるシャドーマスタの実態を把握し光を当てることが、企業のデータマネジメントの方向性を決めるうえで重要だとの考えを示しました。調査はオンライン上のアンケートで、2026年7月30日~8月5日に実施されています。NTTドコモビジネスXは、TIBCOのジャパン・ディストリビューターとして、MDM製品「TIBCO EBX」を提供しています。
出典:NTTドコモビジネスX