TSUTAYAのFC事業と卸事業を手がけるカルチュア・エクスペリエンス株式会社(以下、CX)と、株式会社PubteXは、生成AIを活用した「書誌ジャンル自動生成機能」を共同で開発しました。CXが管理・更新する書誌マスタの整備に、PubteXの生成AI技術を用いる仕組みです。これにより、CX社内で利用する書誌ジャンルを自動で生成します。提供開始は2026年11月の予定です。なお、CXはカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、CCC)の持分法適用会社です。
ここでいう書誌マスタとは、書名・著者名・ISBN・価格などの書誌情報に加えて、書店運営で使うジャンル・分類情報を収めたデータベースを指します。今回自動生成の対象となる書誌ジャンルは、そのうち「その本をどの棚に置くか」を判断するためのジャンル・分類情報です。共同開発の対象は、あくまで生成AIで書誌ジャンルを自動生成する「仕組み・機能」です。CXが管理・更新する書誌マスタ本体(データベース)と、ジャンル・分類体系の権利はCCCに帰属します。
出版社・書店を横断して整っていない「どの棚に置くか」の情報
出版業界では、書名・著者名・ISBNといった基本的な書誌情報は存在しています。一方で、その本をどの棚に置くべきかを判断するためのジャンル情報や、販売現場で扱いやすい分類情報は、出版社や書店を横断する形では十分に整備されていません。
CXではこれまで、新刊が発行されるたびに専任担当者がタイトルや内容を確認し、書誌マスタへジャンル情報を入力してきました。この作業は、次のような目的に欠かせないものです。
- 各書店で棚割りや売り場構成を検討する
- 書店スタッフが新刊の置き場所をすばやく判断する
この入力作業は、読者と本の「最適な出会いの場」を支える基盤でもあります。しかし、日々発行される膨大な新刊を手作業で処理しているため、その負荷が課題となっていました。
AIがジャンルを「提案」し、担当者の修正を学習する
新機能では、出版物の基本書誌情報や内容紹介テキストなどをもとに、PubteXのAIがジャンル・分類コード情報を推定して付与します。対象となるのは、CXが書店運営で活用している独自のコード情報です。これまで人手に頼ってきたジャンル付与を、大幅に省力化できると見込まれています。
この機能の特長は、AIがジャンルを付与するだけでなく、CXに対してジャンルを「提案」する点にあります。CXが書誌データをアップロードすると、AIが自動でジャンルを提案します。その提案をCXの担当者が確認・修正し、その結果をAIが学習します。この一連の流れをPDCAとして回し続けることで、提案の精度が継続的に高まる設計です。期待される効果として、次の3点が挙げられています。
- 入力工数の低減:新刊ごとに手作業で行っていたジャンル入力を大幅に省力化する
- 付与のバラつきの解消:担当者による判断の違いを抑え、同じ基準でジャンルを付与できる
- 新しいジャンルへの迅速な対応:市場の変化で新たなジャンルが生まれた場合も、既刊分を含めたジャンルの再構築に短期間で対応できる
両社の役割分担
CXは、書店運営や売り場づくりの知見と、CX社内で利用する書誌マスタ・ジャンル体系を共有します。あわせて、現場のニーズに基づく要件定義・検証・フィードバックを担います。PubteXは、生成AI技術の提供と、CX向け書誌ジャンル自動生成機能の設計・開発を担当します。さらに、書店のニーズを踏まえて、他の書店への汎用化も検討します。
売り場づくりのDXから、刊行前の情報整備まで
CX:書誌ジャンルを売り場づくりやレコメンドに活用
CXは、新機能で整備される書誌ジャンルを活用し、書店の売り場づくりの高度化とDXを進める方針です。視野に入れている主な取り組みは、次のとおりです。
- 書店現場での棚割り・フェア企画の検討を支援するツールへの展開
- オンラインとオフラインを横断したレコメンドや販促への活用
- 実店舗データと書誌情報を掛け合わせた、より精緻な需要予測
これらを通じて、読者にとっての「本との出会い」の機会を広げていく予定です。データやAIといったテクノロジーを売り場づくりに還元し、地域の文化拠点である書店の価値を高めることを目指しています。
PubteX:他書店への汎用化と刊行前からの情報整備
PubteXは、CXとの協業を通じて、書店現場でどのような情報が実務上必要とされているかを具体的に学んできたとしています。今後は、各書店が独自に定めるジャンル・分類体系に合わせて自動生成を行う仕組みを汎用化し、CX以外の書店にも各社の体系に沿った形で提供できるよう進めます。ただし、各書店が築いてきたジャンル・分類体系そのものを統合したり、共通化したりするものではありません。
出版社と協力して書誌情報をより早い段階、つまり刊行前から整備し、書店の新刊仕入れや選書業務に直接活用できる形へ発展させることも目指しています。書店バイヤーが発注段階からジャンル・分類情報などを参照できるようにすることで、仕入れ判断の精度向上や作業時間の短縮につなげる考えです。こうした構想の実現に向けて、出版社・書店と連携し、書誌情報の整備・共有の枠組みを検討します。PubteXは今回の取り組みを起点に、「書店の売り場づくり」をデータから支えるインフラの構築を目指すとしています。なお、同社の株主は丸紅株式会社、丸紅フォレストリンクス株式会社、株式会社講談社、株式会社集英社、株式会社小学館です。
出典:株式会社PubteX