コングロマリット経営体制の背景
マイファームは2007年の創業以来、体験農園、農業教育、農産物の生産・流通、自治体・法人向け支援事業を通じて、農業に関わる機会を創出してきました。しかし、上場と上場廃止を経験し、農業を取り巻く環境が変化する中で、「株式会社」という単一の法人格だけでは、事業の持続的かつ広範な展開に限界があるという認識に至ったと説明されています。同社の代表取締役である西辻一真氏のコメントによると、農業が100年単位で考える産業であるにもかかわらず、株式会社の枠組みではその時間軸を持ちきれない場面があったことが背景にあるとのことです。
この状況を受け、事業そのものを縮小するのではなく、それぞれの事業に最も適した法人格へと展開の場を移すことで、目的を共有する複数法人が役割を分担する「コングロマリット経営」体制へと移行しました。この体制は資本による統合ではなく、各法人が独立した法人格と意思決定機関を持つ形で運営されます。
関連情報は以下のリンクから確認できます。
各法人の役割と連携
株式会社マイファーム
株式会社マイファームは、事業の実行主体として、体験農園、農業教育、農産物生産、自治体および法人向け支援事業を展開します。また、企業アライアンスの推進と、各法人への運営支援を担います。当期の目標は売上高約50億円、営業利益約1億円です。
WE農業協同組合
2026年9月1日に展開を開始したWE農業協同組合は、全国横断型で環境に配慮した農業を推進し、組合員の経営力向上を目指す組織です。相互扶助の精神に基づき、組合員が出資し、共に事業を担います。同日には産直サイト「WECOOP」がオープンし、農産物流通事業および出荷代行事業、コープマイファーム事業をWE農協の流通・販売支援事業として展開しています。物流拠点として関東東京センターと関西センターが稼働しており、組合員の生産物の受け入れから小売等への卸販売までを担う流通経路が本格稼働しています。WE農協は、マイファームの全国ネットワークと、アグリイノベーション大学校をはじめとする農業教育事業の卒業生の交流をつなぐハブとなることを目指しており、2026年度の目標は取扱高5億円です。
地球共創大学院大学(2028年4月開学予定)
一般社団法人地球共創学園設立準備会は、2028年4月の開学を目指し、地球共創大学院大学(GCU)の設置準備を進めています。この学校法人は、農と社会をつなぐ高度人材「地球人(Gaiable Humans)」の育成と、研究プロジェクトの創出を担います。マイファームは同法人に対し、6,000万円の寄付を実施しており、GCU内には産学連携の拠点として「アグリイノベーションセンター」が設置される予定です。これにより、マイファームが2010年より展開してきた農業教育事業と研究開発の知見が、大学院における教育・研究の場へとつながり、発展していくことが期待されます。
学校法人静修学園
1922年創立の札幌静修高等学校を設置・運営する学校法人静修学園は、2021年11月よりマイファーム代表の西辻一真氏が理事長を務めています。普通科高校のカリキュラムに農と食の学びを取り入れる取り組みを進めており、マイファームとの産学連携による農場と農業教育のノウハウを活用し、高校教育の中に実際に土に触れて作物を育てる経験を組み込んでいます。事業規模は営業収益ベースで年間約9億円です。
コングロマリット全体の事業規模
参考として、各法人の当期計画収入規模を単純合算すると、約64億円となります。

この数値は連結財務諸表に基づく連結売上高ではなく、各法人が異なる会計基準を採用しているため、法人間取引の相殺は行われていません。また、地球共創大学院大学は開学準備中のため、この合算の対象には含まれていません。
株式会社マイファームの経営目標
株式会社マイファーム(単体)の2027年8月期(第21期)の経営目標は以下の通りです。

当期の成長は、主に戦略アライアンス領域が牽引すると見込まれています。既存株主との協業により、新たな市場の開拓に着手する方針です。なお、2025年8月期(第19期)の売上高は32億2,323万円でした。
「マイファーム定義書」第15改訂版の発行
マイファームは、経営の拠りどころとなる社内クレドとして「マイファーム定義書」を毎年策定しており、2026年9月にその第15改訂版を発行しました。この定義書は、全社員を対象としたアンケートに基づき、100年後の未来像・中期経営計画・今期の行動指針を一本の線でつなぐ憲法のような文書として位置づけられています。
今期の全体方針
「自産自消ができる社会を共創する」ことを掲げ、第三創業期のスケール期において、農の価値を広げることを目指します。誰もが農に参画できる社会を創り、ワクワクを原動力に、今期売上約50億円・営業利益約1億円を達成する方針です。
みんなが描く100年後の未来
社員が描いた100年後の未来像は、野菜の旬や育ち方、形、生命力と重ねて、春夏秋冬8つの野菜で表現されています。

今期の行動指針

今後の見通し
マイファームが新たに農に関わる人を創出し、WE農業協同組合が就農後の経営を支え、学校法人が学びの機能を担う。この一連の流れによって、農に関わり始めてから担い手として自立するまでを、切れ目なく支える環境を構築することを目指しています。このコングロマリット経営体制は、マイファームが目指す「2100年になっても自産自消のできる社会」を実現するための重要なステップとして位置づけられています。




