日本のノートパソコン市場、2035年には138.4億米ドル規模へ拡大予測:成長を牽引する教育、ビジネス、ゲーミング需要

日本のノートパソコン市場、2035年に向けた緩やかな成長と主要な牽引要因

株式会社マーケットリサーチセンターが発表した調査資料「Japan Laptop Market 2026-2035」は、日本のノートパソコン市場が今後10年間で着実な成長を遂げると予測しています。2025年時点で101.8億米ドル規模に達している同市場は、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)3.12%で拡大し、2035年には138.4億米ドルに達する見込みです。

株式会社マーケットリサーチセンター

市場成長を支える主要な背景

この市場の成長は、以下の複数の要因によって支えられています。

  1. 教育現場のデジタル化と更新需要
    日本政府のGIGAスクール構想により、2021年までに義務教育段階で「1人1台端末」の整備目標が達成されました。この初期配備が一巡した後、今後は新規大量導入よりも、耐久性、管理のしやすさ、バッテリー持続時間、セキュリティなどが重視される学校端末の更新需要が市場を牽引すると考えられます。

  2. 企業におけるPC利用の定着と多様な働き方
    ノートパソコンは企業での日常業務において中心的な端末として定着しています。2019年の日本の就業率が77.8%であったことからも示されるように、高い就業参加率がビジネス向け端末の需要を下支えしています。オフィスワークに加え、外出先、出張、在宅勤務など、場所を選ばない柔軟な利用が可能なノートパソコンは、デスクトップPCに対する優位性を保っています。

  3. eスポーツ市場の拡大とゲーミングノートPC需要
    eスポーツ市場の拡大も、高性能なゲーミングノートPCの需要を押し上げています。2022年には日本のeスポーツ愛好家が780万人を超えたとされ、高性能GPU、高リフレッシュレートディスプレイ、高性能冷却機構などを備えたゲーミングノートPCへの関心が高まっています。持ち運び可能なゲーミングPCは、限られたスペースでの利用や動画編集、配信など高負荷用途にも対応し、若年層やクリエイター層の需要にもつながっています。

  4. 2-in-1端末の普及
    従来のノートPC機能に加え、タブレットとしても利用できる2-in-1端末は、1台で多様な用途に対応できる点が強みです。タッチ操作やペン入力の重要性が増しており、手書きノート、イラスト、資料への書き込み、プレゼンテーションなど、ビジネスや教育、個人用途での柔軟な利用シーンが成長を後押ししています。軽量性も日本の鉄道移動が多い環境と相性が良いとされています。

  5. ディスプレイ技術の高度化
    OLED(有機EL)ディスプレイのような新しい技術の導入も、市場の価値を高める要素です。高コントラスト、深い黒、高い色再現性を特徴とするOLEDは、動画視聴、画像編集、ゲーム、クリエイティブ用途との相性が良く、プレミアムノートPCでの採用拡大が期待されます。ただし、価格や消費電力、耐久性とのバランスも考慮され、まずは高価格帯や映像品質を重視するモデルから普及が進むと見られます。

市場のセグメント別動向

市場はタイプ別に「Traditional(従来型)」と「2-in-1」に分類され、従来型が引き続き主流です。画面サイズ別では、携帯性と作業性のバランスが良い13~14インチ台がビジネス用途で高い親和性を示しています。15~16インチ台は広い画面を必要とするユーザー向け、17インチ超はゲーミングや高度な映像制作など、特定の高性能用途で需要があります。

価格帯別では、500米ドル以下が教育・日常利用、501~1,000米ドルがビジネス・一般消費者向け、1,001~1,500米ドル以上が性能、軽量性、ディスプレイ品質などを重視するユーザー層に支持される傾向が見られます。日本市場では単純な価格競争だけでなく、長期利用できる品質、軽さ、静音性、耐久性、サポート体制も重要な購入要因となっています。

エンドユースは「Personal(個人用)」「Business(ビジネス用)」「Gaming(ゲーミング用)」に分けられ、それぞれ異なるニーズが市場を形成しています。

競争環境と主要プレイヤー

日本のノートパソコン市場では、Apple、Samsung Electronics、Microsoft、Sony Group、ASUS、HP、Dell、Acer、Razer、MSIといった国内外の主要企業が競合しています。各社は、ハードウェアとソフトウェアの統合、2-in-1などの新形態、幅広い製品ポートフォリオ、ゲーミング分野での高性能化など、それぞれの強みを生かして市場での存在感を高めています。

今後の見通しと影響

日本のノートパソコン市場は、今後、販売台数の大幅な増加よりも、既存ユーザーがより高性能、軽量、高画質、多機能なモデルへ移行する「更新型需要」が中心となると考えられます。スマートフォンやタブレットとの棲み分けが進み、ノートパソコンにはキーボード入力、生産性、専門ソフト、高性能処理といったPCならではの価値がより強く求められるでしょう。

2035年に向けた主要テーマは、「教育端末の更新」「ビジネスモビリティ」「ゲーミングPC」「2-in-1」「薄型・軽量化」「OLEDディスプレイ」「高性能化」「価格帯別の用途分化」に集約されます。メーカー各社にとっては、教育、企業、ゲーム、クリエイターといった用途ごとに明確な価値を提供できるかが、競争力を左右する重要な要素となる見込みです。

本調査レポートの詳細については、株式会社マーケットリサーチセンターのウェブサイトからお問い合わせください。