プロセスオートメーションの日本市場、2035年には86.8億米ドル規模へ拡大予測

プロセスオートメーションの日本市場、2035年に向けて大幅な成長を予測

日本のプロセスオートメーション市場は、2025年時点の約42.9億米ドルから、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)7.3%で拡大し、2035年には86.8億米ドルに達すると予測されています。

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市場成長の背景と牽引要因

市場成長の主な要因として、製造業における人手不足の深刻化、AI・IoT・クラウドといった先進技術の導入、分散制御システム(DCS)やプログラマブルロジックコントローラ(PLC)などの高度化が挙げられます。また、エネルギー効率改善への需要、そして政府が推進するSociety 5.0を含むデジタル化政策も市場拡大を後押ししています。

日本は世界的に見ても自動化・ロボット利用が進んだ国の一つであり、30万台を超える産業用ロボットが稼働しているとされています。高齢化や出生率の低下に伴う労働力不足が企業の自動化投資を促進しており、省人化だけでなく、品質安定、稼働率向上、安全性向上といった多角的な目的でプロセスオートメーションが導入されています。

2021年時点では、製造業従事者1万人当たり約631台のロボットが稼働しており、2022年には世界の産業用ロボットの45%を日本企業が生産しました。自動車や電子機器産業に加え、物流、食品、医薬品分野でも包装や搬送などの自動化が拡大しています。

AI導入による効率化と主要企業の動向

AIの導入も市場に大きな影響を与えています。レポートでは、日本の工場にAIを導入したことで必要人員が約30%削減された事例が報告されています。AIは異常検知、予知保全、品質予測、エネルギー最適化などに活用され、人の監視・判断を補完する形で利用が広がっています。

主要企業では、2026年3月に三菱電機と日立が、製油、電力、水処理向けに予知保全やエネルギー最適化機能を組み込んだAI対応プロセスオートメーション基盤を発表しました。これは、日本のGreen Transformation政策による産業脱炭素投資とも連動していると考えられます。また、横河電機は2026年4月の投資家向け説明会で、化学、精製、医薬品分野を中心に制御システムとデジタルサービス需要が拡大しているとして中期目標の一部を上方修正しました。同社はOpreXブランドの拡大に加え、MicrosoftやNVIDIAとの産業AI連携強化も進めているとのことです。

システム別・用途別の動向と市場の課題

システム別では、SCADA(監視制御・データ収集システム)、PLC、DCS、MES(製造実行システム)、バルブ・アクチュエータ、電動モーター、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)、プロセス安全システム、センサー・トランスミッターなどに分類されます。この中でDCSは工場内の複数工程を分散配置された制御装置で監視・制御し、連続プロセスを安定運転できるため、特にエネルギー、化学、精製、水処理など多数の工程が同時稼働する施設で重要な成長分野となっています。市場全体では、これらのシステムを個別に導入するよりも、データを連携させて統合運用する方向が強まっています。

通信プロトコル別では、有線プロトコルが2026年から2035年にかけてCAGR8.0%で成長すると予測されており、安定性、低遅延、安全性が重視される産業制御において引き続き重要です。一方、無線通信もIoTやクラウド分析との連携に適しており、その重要性は高まると考えられます。

用途別では、2025年のシェアで石油・ガスが16.1%を占めていますが、予測期間中の成長率では水・下水分野がCAGR9.6%で最も高く、化学・鉱業が7.8%、消費財が7.5%と続きます。水処理分野では、設備監視、ポンプ制御、流量・水質データ分析、エネルギー削減などに自動化技術を導入する余地が大きいとされています。自動車産業や、Intelが日本企業と協力して開発を進める半導体後工程の自動化も、プロセスオートメーションの新たな適用分野として注目されています。

一方で、市場拡大には課題も存在します。高度なオートメーション設備には大きな初期投資が必要であり、既存のレガシーシステムとの統合も容易ではありません。また、システムの設計・運用には専門人材が不可欠であり、サイバー攻撃やデータ漏洩への対策も重要となります。

今後の展望

日本のプロセスオートメーション市場は、2035年に向け、「DCS・PLC」「AI予知保全」「IoT監視」「クラウド自動化」「エネルギー最適化」「水処理」「石油・ガス」「半導体後工程」「協働ロボット」「Society 5.0」が主要テーマとなると考えられます。人手不足を補う設備制御市場から、工場・インフラ全体をデータ駆動で自律最適化する産業デジタル基盤市場へと移行していくでしょう。

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