上場企業のIR部門、個別面談の周辺業務に8割超が課題感—現場は「データの資産化」を求める

IR業務の現状と課題

個別面談件数の増加と周辺業務の負荷

過去1年間で個別面談件数が「増加した」と回答した割合は51.9%に達し、年間の平均件数は357件となりました。特にプライム上場企業の回答者(n=67)では59.7%が増加を実感しており、市場区分によって増加ペースに差が見られます。

上場区分別:個別面談件数の変化

面談本体を除く周辺業務(準備・議事録・Q&A整理)にかかる時間は、1件あたり平均1.66時間にも及びます。年間平均面談件数から試算すると、年間約593時間(営業日換算で約74日分)が周辺業務に費やされていることになります。回答者の54.8%が1件の面談あたり1時間以上を周辺業務に費やしており、特にプライム市場の企業では平均1.76時間と、全体平均を上回る傾向が見られました。

投資家・アナリストとの個別面談1件あたり、面談前後の周辺業務にかかる時間はどのくらいですか。

記録プロセスと属人化のリスク

面談の記録・Q&A整理において、85.6%の回答者が何らかの課題を感じていると回答しました。最も多かった課題は「AI・音声認識の精度不足による手直し」(52.9%)であり、ツールを導入してもなお手直しによる負荷が残る実態が示されています。また、「担当者による記録の質のばらつき」(45.2%)や「データの検索性の低さ」(44.2%)も上位に挙がり、データ整備に関する課題意識の高さがうかがえます。

投資家・アナリストとの個別面談の記録・Q&A整理において、課題を感じていることを教えてください。

対話記録の運用実態を見ると、完全手動、音声のみ、汎用ツールでの書き起こし+大幅修正といったアナログから半アナログな運用が71.0%を占め、専用システムやAIソリューションを活用している企業は14.3%にとどまっています。

現在、投資家またはアナリストとの個別面談の「対話内容の記録・整理」において、最も近い運用状況を選択してください。

投資家から過去の回答との矛盾を指摘された際に、即時の照合が困難な割合は25.7%に上ります。「当時の担当者への確認が必要」と答えた19.7%を含めると、属人的な管理体制がリスクにつながる可能性が示唆されました。

投資家から過去の回答との矛盾を指摘された際、正確なやり取りを即時に確認・照合できますか。

対話データの活用状況

投資家との対話データが経営判断に「活用できている」と回答した割合は57.7%と過半数を超えています。しかし、経営陣への報告形式は「重要コメントを抽出した定性レポート」が51.3%で主流であり、定量データを交えた体系的な活用には発展の余地があると考えられます。

投資家との対話データは、経営判断に活用できていと思いますか。

投資家の意見を経営陣に報告する際の形式は何ですか。

AI・デジタルテクノロジーへの期待

IR業務においてAI等のデジタルテクノロジーを活用することで解決を期待する点として、全体(n=300)では「過去記録の資産化・属人化解消」が63.3%で最多となりました。投資家・アナリストとの対話業務従事者(n=104)に限定すると、この期待は73.1%に上昇しており、現場が単なる業務効率化に留まらず、対話データの蓄積と活用を強く求めていることが示されています。

IR業務においてAI等のデジタルテクノロジーを活用することで、解決を期待することは何ですか。

調査背景

東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営」の要請から3年が経過し、IR・開示の範囲と深度は拡大しています。金融庁でもコーポレートガバナンス・コードの改訂に向けた議論が進む中、投資家との対話の質が重要視されています。この改革を背景に個別面談の機会が増加している一方で、面談前後の周辺業務の負荷が組織内で可視化されにくい課題として積み上がっています。

まとめ

本調査から、投資家との個別面談を取り巻く構造的な課題が浮き彫りになりました。特にプライム上場企業では面談件数と周辺業務の負荷が顕著であり、記録作業の効率化と対話内容の資産化が解決の鍵となります。対話データを構造化・データ化し、組織全体で検索・参照・分析可能にすることで、IR活動の成果を最大化できると考えられます。AIやテクノロジーによる「資産化・属人化解消」への高い期待は、対話データを組織の強みに変えたいという現場のニーズの表れと言えるでしょう。

株式会社ログラスの取締役 執行役員CFOである伊藤 駿氏は、この調査結果について「AI・デジタルテクノロジーを、効率化だけでなく対話データの蓄積という形で活用したいという声が多かったという点で、IRへの意識が着実に高まっていることを実感させる調査でした。一方、通常1時間または30分で行われる投資家面談に対して、その1件の準備や振り返りに平均1.66時間もの時間をかけていることは非生産的であると言え、実際にテクノロジーを活用して生産性を上げていくことが待たれる内容となりました。」と解説しています。

Loglass AI IRについて

「Loglass AI IR」は、従来の煩雑なIR業務を効率化し、投資家との対話の質を向上させるAIソリューションです。IR担当者の戦略的な活動を支援することを目指しています。

Loglass AI IR 製品サイト: https://loglass.jp/solution/ai-ir

調査概要

  • 調査名: 上場企業のIR部門における業務実態調査

  • 調査方法: オンライン上でのアンケート調査

  • 調査期間: 2026年3月13日~2026年3月15日

  • 調査対象: 上場企業に勤務し、過去1年以内にIR関連業務に従事したことのある担当者 300名

  • 調査企画: 株式会社ログラス

参考