中国日系企業の動向:関連企業数ランキングでローソンが首位維持、事業戦略の二極化が鮮明に

中国日系企業数の減少と事業戦略の二極化

2026年4月時点の法人登記情報に基づく調査では、中国に進出している日系企業数は26,755社となり、前回調査から200社減少しました。2023年11月の第1回調査以降、減少傾向が続いています。また、日系企業と紐づく日本の親会社数も9,522社と、前回から222社減少しました。

しかし、この減少傾向の中で、関連企業数を増加させた企業が585社あったのに対し、減少させた企業は1,053社と、縮小企業が拡大企業の約2倍に上る結果となりました。これは、中国市場の構造変化(不動産市場の低迷、消費回復の二極化、米中対立の長期化など)を背景に、多くの日系企業が事業に対して慎重な姿勢を維持しつつも、一部では積極的に事業を拡大していることを示しています。

関連企業数ランキング上位の顔ぶれ

関連企業数ランキングでは、コンビニエンスストア事業を展開する「株式会社ローソン」が613社で前回調査に引き続き1位を維持しました。上位10社の顔ぶれに大きな変化はなく、中国市場において継続的に事業基盤を維持している企業が多いことがうかがえます。

業種別に見ると、小売業と飲食業が上位を占めており、中国の巨大な消費市場に積極的な事業展開を行っていることが分かります。また、昇降設備や電気機器などインフラに関連する製造業も安定した事業基盤を維持しています。

表1 中国日系企業の関連企業数ランキング1~10位

積極的に事業を拡大する日系企業

関連企業増加数ランキングでは、小売業の「株式会社ファミリーマート」(前回調査比+70社)と「株式会社セブン&アイ・ホールディングス」(同+56社)がTOP2を独占しました。飲食業では「株式会社ゼンショーホールディングス」(同+44社)、「株式会社サイゼリヤ」(同+26社)が続き、手頃な価格で高品質なメニュー展開が消費者に評価されていることが示唆されます。

製造業では、スポーツシューズに強みを持つ「株式会社アシックス」(同+20社)が中国スポーツ市場の拡大を背景に事業展開を加速。半導体製造装置メーカーの「株式会社KOKUSAI ELECTRIC」(同+8社)は、中国における半導体の国産化推進と密接に関連し、サプライチェーンにおける代替が困難な役割を担うことで事業拡大を進めていることが確認されました。その他、ファスナー世界最大手の「YKK株式会社」(同+5社)や自動車部品の「矢崎総業株式会社」(同+5社)など、各分野を代表する製造業がランクインしており、専門性の高い分野で競争力を維持しています。

サービス業では、教育サービスを展開する「株式会社ベネッセコーポレーション」(同+16社)が6位にランクインしており、中国における教育サービス需要の底堅さが事業拡大を後押ししているものと考えられます。

表2 中国日系企業の関連企業増加数ランキング1~10位

今後の見通し

今回の調査結果からは、中国市場における日系企業の戦略が「事業拡大」と「最適化」の二極化を一層進めていることが明らかになりました。特に、小売業や飲食業などの内需型サービス業は積極的に事業基盤を拡充する一方で、製造業を中心に事業再編を進める動きも見られます。

関連企業数は、単なる企業規模を示すだけでなく、中国市場に対する経営戦略や事業変化を読み解く重要な指標です。関連企業数の増減だけでなく、その背景にある組織再編や地域戦略などを総合的に分析することで、中国市場における日系企業の動向を的確に把握できるものと考えられます。このような観点から、関連企業数は、企業の市場浸透度や中国市場への投資姿勢を映し出す「経営の温度計」として、今後も重要な分析指標と言えるでしょう。

本調査の詳細は、以下のサイトよりご覧いただけます。