国家戦略における位置づけの継続
ローカル・ゼブラ企業の育成・推進は、2023年の初明記以来、政府の基本方針に4年連続で記載されています。特に今年度は、政権交代に伴い「新しい資本主義」が「日本成長戦略」へと政策体系が再編され、「地方創生2.0」の実行戦略として「地域未来戦略」が策定される中でも、ローカル・ゼブラ企業の位置づけが引き継がれました。賃上げ・スタートアップ・地域金融といった複数の政策領域に横断的に組み込まれた点が特徴です。
この継続的な位置づけは、ゼブラ企業の推進が一時的な政策テーマにとどまらず、日本の中長期的な政策構想に組み込まれつつあることを示唆しています。
閣議決定された主要文書
2026年7月21日には、以下の3つの政府関連文書が閣議決定・公表され、これらの中にローカル・ゼブラ企業が位置づけられています。
また、中小企業政策の分野では、2026年6月24日に中小企業庁が公表した「労働供給制約社会における中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化戦略」の中でも、ローカル・ゼブラ企業の育成が明確に位置づけられています。
政策体系の再編と「ゼブラ企業」の継続
2025年秋の新内閣発足に伴い、政府の政策推進体制は大きく再編されました。「新しい資本主義実現本部」は「日本成長戦略本部」に、「新しい地方経済・生活環境創生本部」は「地域未来戦略本部」へとそれぞれ引き継がれ、主要な成長戦略文書も変更されました。このような再編の中でも、ローカル・ゼブラ企業は「骨太の方針」「日本成長戦略」「地域未来戦略」の三つの政策レイヤー全てに明記され、その位置づけが継続していることが確認されています。
背景にある社会課題とローカル・ゼブラ企業への期待
日本は現在、人口減少、少子高齢化、労働力不足といった構造的課題に直面しています。政府は、労働供給制約社会において賃上げを「供給力強化」の起点と位置づけ、「強い経済」の実現には「強い中堅・中小企業」が地域経済を牽引する必要があるとしています。
このような状況下で、ビジネスの手法で地域課題を解決し、社会的インパクトを生み出しながら収益を確保するローカル・ゼブラ企業は、地域経済循環の創出と地域課題解決の両立を担う存在として注目されています。賃上げ環境整備、地域金融、スタートアップ育成といった複数の政策領域を横断する形でその役割が期待されています。
ローカル・ゼブラ企業の定義
「ゼブラ企業」とは、社会性と経済性の両立を追求し、相利共生を大切にしながら、持続的・協調的な成長を目指す企業群です。急成長を追求する「ユニコーン型」とは異なるアプローチを取ります。
政府が明確に位置づけた「ローカル・ゼブラ企業」は、地域未来戦略において「ビジネスの手法で地域課題の解決にポジティブに取り組み、社会的インパクトを生み出しながら、収益を確保する企業」と定義されています。従来の行政や非営利では補えない「共助の領域におけるビジネス」や「産業分野における社会課題を解決しながら付加価値創出型経済を実現していく新たなビジネス」を担う存在として、その重要性が増しています。
2026年政策文書における明記内容の要点
1. 「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針)」
賃上げ環境整備や中堅・中小企業の「稼ぐ力」強化という経済政策の中で、変革に挑む企業類型の一つとしてローカル・ゼブラ企業が明記されました。これは、地域課題解決に特化した個別テーマにとどまらず、幅広い支援対象の一つとして位置づけられたことを示しています。
2. 「日本成長戦略」
スタートアップ、地域金融、賃上げ環境整備の3つの政策領域で、ローカル・ゼブラ企業に関する施策が記載されています。具体的には、インパクト投資の手法や市場の確立と合わせたファイナンスの仕組み構築、地域金融機関による成長支援、地域のステークホルダーとの連携体制構築が示されており、資金供給の仕組みづくりに加え、伴走支援や連携環境の整備を通じて創出・成長を支援する方向性が示唆されています。
3. 「地域未来戦略」
「強い地域経済の構築」を担う施策の一つとして「ローカル・ゼブラ企業の創出」が明記されました。産業クラスター形成といった大規模投資型の施策と並び、地域に根ざして課題解決と収益を両立する企業群の創出が、地域経済戦略の構成要素として引き続き位置づけられています。
これらのうち、制度設計や施策の具体化が必要な事項については、今後、政府内で検討・実施が進められる予定です。
今後の役割と展望
株式会社Zebras and Companyは、政策体系が再編される転換期においてもゼブラ企業の位置づけが継続・深化したことを受け、今後も政府の政策動向と現場の実践をつなぐ橋渡し役として、地域金融、自治体、アカデミア、企業との連携を進め、協調と革新の持続可能な社会・経済モデルを推進していく方針です。

株式会社Zebras and Companyは、「Different scale, Different future (新しいものさしがあれば、新しい成長が起こり、新しい未来が作れる)」をテーマに、「優しく健やかで楽しい社会」を目指し、投資と経営支援を行っています。投資・経営支援、行政や金融企業との連携、リサーチと情報発信を通してゼブラ的経営を体系化し、ゼブラ企業という概念が全ての企業に実装され、新たなビジネスモデルの可能性が広がる世界を目指しています。



