FRBの金融政策見通し
クラリダ氏は、FRBの金融政策運営が2026年後半にインフレ率がどのように推移するかに大きく左右されるとの見解を示しています。PIMCOはコアインフレ率が既にピークを迎えたと考えており、インフレ率が2.5%を下回り始めるのであれば、FRBは年内を通じて政策金利を据え置き、利下げを検討する可能性があると見ています。しかし、インフレ率が3%を上回る水準にとどまる可能性も十分にあり、その場合、FRBは利上げを求める圧力に直面する可能性があると指摘されました。
FRBの見方は今年3月以降、大きく変化しました。3月時点では、連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者のうち、2026年の利上げを見込む参加者はいませんでしたが、6月時点では9名が利上げを予想し、利下げを予想した参加者は1名にとどまっています。最終的にFRBが今年どのような政策判断を下すかは、インフレ動向次第であるものの、PIMCOの基本シナリオでは、FRBは年内を通じて政策金利を据え置くと見込まれています。
インフレを巡る主要因
原油価格の動向とインフレ期待
エネルギー価格は引き続き不確実性の重要な要因であるとクラリダ氏は指摘しました。中東情勢の緊張が続くなか、原油市場ではボラティリティの上昇とリスク・プレミアムの拡大が見られるものの、足元の先物市場は、原油価格が1バレル=100米ドルを超える水準で継続的に推移することを織り込んでいません。原油価格の上昇がインフレ期待を押し上げ始めるかどうかが重要であり、中央銀行はこの点を極めて注意深く見ています。
AI投資のマクロ経済への影響
AI関連設備投資(データセンター、発電設備、半導体、建設分野への投資を含む)がマクロ経済に及ぼす影響についても言及されました。AIによる生産性向上の恩恵を享受するには、多額の先行投資が必要であり、現在、AI関連投資に伴う需要の拡大が物価に一定の上昇圧力を及ぼしていると説明されました。
一方、PIMCOは、時間の経過とともに生産性向上の効果が顕在化することで、AIがディスインフレ要因となる可能性があると見ています。生産性向上の恩恵は、市場の予想よりも早い段階で現れる可能性があり、AIによるインフレ抑制効果は時間の経過とともに大きくなると考えられています。PIMCOの長期経済展望では、AIインフラ投資を、エネルギー転換、防衛支出、サプライチェーン再構築と並ぶ世界的な設備投資サイクルの一部と位置付けています。
債券市場の投資機会
質の高い債券は引き続き魅力的な投資機会を提供するとPIMCOは考えています。近年の債券利回りの上昇により、債券投資家にとって「世代に一度のリセット(Generational Reset)」がもたらされ、過度な信用リスクや流動性リスクを負うことなく、ポートフォリオから魅力的なインカムを得ることが可能になりました。
グローバルに分散された質の高い債券ポートフォリオは、株式に比べて大幅に低いボラティリティのもとで、長期的には株式リターンと競合し得る水準が期待されます。PIMCOは、アクティブ運用と慎重なクレジット選別の重要性を強調しており、投資適格債、エージェンシーMBS、証券化商品、一部の新興国市場などには投資機会があるものの、信用スプレッドが低水準にあるため、ボトムアップによる個別銘柄の選別とクレジット調査を通じて見極める必要があると述べています。
日本市場の見通し
PIMCOは、日本経済がより正常なインフレ環境へ移行することで、日本銀行による金融政策の正常化がさらに進むと予想しています。年内に追加利上げが1回実施されるというPIMCOの見方は、市場予想に概ね沿うものです。
10年物日本国債利回りは、概ね現在の水準付近で推移すると見込む一方、イールドカーブの傾斜が大きい状態が続いていることから、特に超長期ゾーンでは投資機会があると見ています。投資開始時点の高い利回り水準が魅力的なインカム収益の源泉となるとともに、日本国債が持つ分散投資効果の維持にも寄与すると考えられています。グローバル投資家にとっても、為替ヘッジ後の日本国債は、他の先進国市場と比べて、引き続き魅力的な利回りの源泉になると考えられています。
PIMCOは、債券のアクティブ運用における世界的リーダーであり、公募および私募市場における深い専門知識を有しています。詳細については、PIMCOのウェブサイトをご覧ください。




