2025年は、災害や地政学リスク、ランサムウェア攻撃など、サプライチェーンを寸断する有事が相次ぎました。また、自動車業界を中心に、長年の課題であった金型の無償保管に対し、下請法に基づく勧告が急増。年明けには法改正も控えており、サプライチェーンの可視化・リスクマネジメント・リスク予測は、これまで以上に企業経営の中心課題となりつつあります。

サプライチェーンリスク管理サービス「Resilire(レジリア)」は、企業の供給網を連なるネットワークとして可視化し、有事の影響範囲を即座に把握できるプラットフォームです。今回は、2025年に顕在化したサプライチェーンリスクの主要トレンドをまとめました。

 

 

複数の大手企業が供給網の分断により甚大な影響を受けましたが、その被害拡大の背景には、有事における状況把握と初動対応の遅れがあったことが指摘されています。企業には、これらを単なる一過性の事象としてではなく、調達を重要な経営課題と位置づけ、サプライヤーとの関係を再構築するという根本的な変革が求められています。

 

261月施行「取摘法」を前に、高まるサプライチェーン管理の重要性

自動車業界で相次ぐ「金型保管費問題」
~2026年1月施行「取適法」を前に、高まるサプライチェーン管理の重要性~

2026年施行の「取適法」を見据えた、ルールの厳格化

2025年11月、公正取引委員会は、三菱ふそうトラック・バスが下請事業者に対し、金型を無償で長期間保管させていた行為を、下請代金支払遅延等防止法(下請法)に基づき勧告しました。同時期にはトヨタ自動車東日本に対する同様の勧告も公表されるなど、自動車業界における金型管理の問題が相次いで明らかになっています。

現行の下請法は改正され、20261月からは「中小受託取引適正化法」(取適法)として施行されます。改正により、適用範囲を資本金基準に加えて従業員数でも判断するなど、対象事業者の範囲が拡大されます。また、協議を行わない一方的な代金決定の禁止、手形払い等の禁止、対象取引への特定運送委託の追加といった禁止行為が整理され、発注者側に求められるコンプライアンス水準は一段と高まります。違反が勧告や企業名公表の対象となる場合もあることから、企業側でも取適法への対応の重要性が増しています。

 

 

 

 

20261月施行「中小受託取引適正化法(取適法)」のポイントと企業への影響

「中小受託取引適正化法(取適法)」は、サプライチェーン全体の取引を適正化することを目的に制定された新しい法律です。対象範囲が広がり、企業が負う責任も大きく変わるため、製造業・物流業を中心に対応が急務となっています。

 

主な改正ポイント

・適用範囲の拡大

従来対象外だった 運送委託も新たに規制対象に。サプライチェーン全体での取引適正化が求められる。

・価格に関する規制強化

一方的な価格決定が禁止され、価格変更時には協議・説明が必須(協議応諾義務)に。

・支払条件の適正化

 手形払いの禁止など、中小事業者が不利になりやすい支払方法を排除。

・中小受託事業者の情報把握義務

 親事業者側が、取引先の従業員数等を把握する義務が新設。

・脱炭素化コストの適正な負担配分

 脱炭素対応のコストを下請へ丸投げすることは禁止。サプライチェーン全体で負担を共有する方向へ。

 

企業側が求められる対応

・取引実務の見直し(契約書・見積・価格改定プロセス)

・社内ルール・フローの再整備(購買/法務/経営企画の連携強化)

・取引先情報(従業員数・業務範囲)の可視化

・調達や委託の判断プロセスを透明化

・不適正取引の排除と説明責任の強化

 

出典:公正取引委員会「下請法勧告一覧(令和7年度)」

https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukekankoku/R7FYkankoku.html

公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」

https://www.jftc.go.jp/partnership_package/toritekihou.html

 

金型保管問題の背景にあるのは「構造的な難しさ」​​

多くの企業で金型は一定額以上の取得価格を基準に「資産」として扱われ、財務観点での管理が行われています。一方、その金型が「現在稼働しているのか」「廃棄可能な状態なのか」といったオペレーション上の実態とはデータが結びついていないケースが多く見られます。

加えて、トヨタ自動車東日本の事例では、受注者が保有する金型であっても、実質的に発注者が使用を支配していたと判断されました。しかし、発注者企業が保有しない金型は資産管理台帳には掲載されないため、従来の管理手法では把握しきれない構造的なギャップが露呈しました。

 

「財務」と「実務」のデータの乖離

企業では金型を財務上は「資産」として管理している一方で、現場で実際に稼働しているか・廃棄可能かといった実態とデータが結びついていないケースが多い。また、受注者保有の金型でも実質的に発注側が支配している場合があり、発注者側の資産台帳に載らない金型が存在するため、従来の管理では把握しきれない構造的なギャップが生じている。

 

● 「N対N」の複雑性

量産品製造では、1つの金型が複数の部品に使われたり、複数の金型で1つの部品を生産することがあり、金型と部品の関係は NN の複雑な構造を持つ。しかし現行の金型管理は財務目的にとどまり、どの金型がどの部品に使われているかを把握できない。そのため、金型の廃棄可否や部品生産の終了確認を、担当者が手作業で情報を突き合わせて判断せざるを得ない状況が生じている。

 

こうしたことは自動車業界だけでなく、電子機器、医療機器、工業機械などの組立産業から、化学・化粧品といったプロセス産業まで、多階層構造を持つ製造業全体に共通する課題です。202511月にResilireが実施した「取適法対応から考える金型管理の実務とリスクマネジメント」ウェビナーにも、業界を問わず約400名にご参加いただき、取適法対応とサプライチェーン可視化について多くの相談が寄せられています。

 

個別対応ではなく、「サプライチェーン構造の可視化」へ

金型管理や取適法への対応は、より上位概念である「サプライチェーン構造の可視化」へ踏み込むことが、根本的な解決につながるResilireは考えています。こうした金型保管費をめぐる負担関係や保管状況まで可視化できるよう、製造業企業との概念実証を進めながら、金型管理に関する新たなサービス開発も進めています。

 

 

取材対象者:株式会社Resilire 代表取締役CEO 津田 裕大

今回の改正により、現行の下請法は中小受託取引適正化法として施行され、適用対象の拡大やルールの明確化が進みます。これは、日本の製造業が従来の「守りの法対応」にとどまるのか、それともサプライチェーン全体を見直す「攻めの変革」に踏み出すのかを問う転換点になると捉えています。

法令対応を形式的にこなすだけでなく、サプライヤーとの対話やデータに基づくリスク管理を通じて、上流構造の不透明さを減らす企業ほど、長期的な信頼と競争力を獲得していくはずです。Resilireとしても、金型管理を含むサプライチェーン構造の可視化を支援し、「法令順守」と「事業の強靭化」を両立する取り組みを、現場の皆さまとともに進めていきたいと考えています。

 

 

会社概要

株式会社Resilire(レジリア)

東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝 10F

    者:代表取締役CEO 津田 裕大

設  立: 2018年9月

事業内容:サプライチェーンリスク管理サービス「Resilire」の開発・提供

 

TierN+1の上流サプライチェーン情報を収集・更新・可視化し、高度なリスク管理を実現するリスクマネジメントプラットフォーム。サプライヤーと共同でサプライチェーンを可視化し、リスク要因(災害・事故・地政学リスクなど)をリアルタイムで検知。影響範囲の把握や初動対応、平時のリスク分析や評価を支援し、サプライチェーンの強靭化を実現します。自動車産業をはじめとする多くの製造業の供給体制強化に貢献しています。

サービスサイト:https://www.resilire.jp/

 

 

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株式会社Resilire

住所 東京都 港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝 10F
代表者 代表取締役CEO 津田 裕大
上場 -
資本金 -
設立 2018年9月
URL https://corp.resilire.jp/
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