「炎上してから広報が動く」──これは最悪のパターンです。 危機広報とは、トラブルや誤解が発生した際に、“事実を正しく・迅速に伝えるための広報対応”のこと。 SNS時代の今、数時間の遅れが企業の信頼を左右します。 この記事では、現役メディアの視点から危機対応の基本と備え方を解説します。

1. 危機広報とは何か

危機広報とは、企業や組織でトラブル・不祥事・炎上が発生した際に、正確な情報を迅速に発信し、誤情報の拡散や信頼失墜を防ぐ広報活動のことです。
  • ✅ SNS炎上(投稿・発言・炎上拡散)
  • ✅ 取引先・顧客トラブル(対応遅延・不正・ミス)
  • ✅ 社内問題(労務・ハラスメントなど)
どのケースでも共通するのは「事実の整理」「一次情報の発信」「経営判断との連携」の3点です。

2. 広報がやるべき危機対応の3ステップ

① 事実確認(1〜2時間以内)

最初に行うのは、情報の真偽確認と一次情報の整理です。 SNSや匿名掲示板の情報をそのまま信じず、社内の発生源・関係部署に直接確認します。
  • ・発生時間と経緯を正確に把握
  • ・関係者の発言は記録に残す
  • ・社外対応チーム(顧客窓口など)と即共有

② 発信判断(3〜6時間以内)

火種を放置すると拡散が止まらなくなります。 経営層の判断を待つ前に、「現時点で把握している情報」を一次対応として発信するのが鉄則です。
「現在、事実関係を確認しております。ご迷惑をおかけし申し訳ございません。確認でき次第、改めてお知らせいたします。」
この一文だけでも“誠実に対応している印象”を与えられます。

③ 報告・修正・再発防止(1週間以内)

危機対応は終わってからが本番。 発生原因・社内対応・再発防止策をまとめ、公式サイト・SNS・プレスリリースで開示します。 また、社内向けには「学びの共有」として再発防止策を明文化することも大切です。

3. やってはいけない“危機時のNG対応”

❌ 無視・放置:「そのうち落ち着くだろう」は最悪
❌ 言い訳:「誤解されただけ」「悪意のある投稿」などの反論
❌ 隠蔽:「調査中」のまま沈黙する
メディア・SNS・顧客は「誠実な対応」を見ています。 謝罪のタイミングよりも、“情報開示のスピード”の方が信頼回復に直結します。

4. 危機に強い広報体制を作るには

日常の広報活動の中で、以下の準備をしておくと危機時に動けます。
  • 社内連絡フロー(誰に・どの順で報告するか)
  • 一次情報の記録ルール(日時・発言・経緯)
  • 想定質問集(Q&A)の定期更新
  • 発信テンプレート(一次報告文・謝罪文)
また、日頃の広報対応を丁寧にしておくことで、 記者・メディアとの信頼関係が築かれ、「正しく伝えてもらえる」危機対応につながります。

5. 炎上を防ぐ“日常広報”の姿勢

危機を未然に防ぐ最も確実な方法は、日常的に「透明性」と「対話性」を保つことです。
  • ・リリースやSNSで過剰な表現を避ける
  • 批判コメントには丁寧に対応
  • 不明点を隠さず“認める勇気”を持つ
誤解を恐れずに情報を発信できる企業ほど、危機に強い組織になります。

まとめ|危機対応は「誠実さのスピード」

危機広報は、火消しではなく“信頼を守るための行動”です。 スピード・正確さ・誠実さ。この3つを最短で動かす仕組みが、企業ブランドを支えます。

▶ PRISAで“危機に強い広報”を整えよう

無料登録はこちら
このページのトップへ