一般社団法人 日本パブリックアフェアーズ協会(東京都港区、代表理事:増田寛也)は、2026年9月24日(木)に「『サイレントキラー』非ウイルス性肝炎の重症化を防ぐ政策的アプローチ」と題するラウンドテーブルを開催しました。


武藤氏(モデレーター)「ウイルス性から非ウイルス性へと肝疾患の構造が激変した。政策や制度設計を時代に合わせてアップデートすることが重要だ」
本ラウンドテーブルでは、はじめにモデレーターを務める日本医療伝道会衣笠病院グループ理事の武藤正樹氏より冒頭挨拶を頂戴し、「15年前の肝炎対策基本法制定時とは異なり、現在は脂肪肝やアルコールなど非ウイルス性肝炎への対応が急務となっている。肝疾患の構造激変に対し、医療計画や診療報酬を含めた制度設計を時代に合わせてアップデートすることが重要だ」と、開催の趣旨や政策課題の背景について述べられました。

吉治氏「『ALT over 30』での早期受診勧奨と、減酒・生活習慣改善による早期介入が重症化予防の鍵となる」
続いて基調講演①として、奈良県立医科大学 消化器内科学講座 教授の吉治仁志氏より「アカデミアから見る非ウイルス性肝炎の現状と予防 ~アルコール性肝障害・脂肪肝の『拾い上げ』から見据える地域連携~」と題して講演いただきました。続けて基調講演②として、虎の門病院 肝臓内科の芥田憲夫氏より「臨床現場における代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)早期発見・治療の壁と、求められる制度改革」をテーマとした講演を頂戴しました。
吉治氏からは、「お酒を完全にやめなくても、減酒薬やアプリ等を活用したハームリダクション(減酒)によって病気のリスクを大幅に下げられる」とのコメントがあり、「ALT over 30(ALTが30 U/Lを超えたらかかりつけ医を受診)」を周知して無症状の段階から早期受診へつなげる地域連携モデル(奈良宣言)についても言及がありました。そのうえで、健診現場での判定基準の見直しと早期受診勧奨の必要性を発表いただきました。

芥田氏「特定健診への血小板測定導入によるFIB-4算出の標準化と、脂肪肝に対する運動リハビリの保険適用を強く求めたい」
芥田氏はMASLDにおける全身性疾患リスクに触れ、「特定健診の必須項目に血小板測定が入っていないため、1次リスク評価(FIB-4算出)が機能していない『特定健診の壁』が存在する」として、2,000例以上の実績がある理学療法士による廃用リハビリの長期的な脂肪肝改善効果や、早期介入が心血管疾患や他臓器がんの予防につながる医療経済的インパクトを紹介し、運動リハビリの必要性を発表いただきました。

横尾氏「多久市では集団健診に血小板検査を導入済み。明確な数値でリスクを示すことが市民の行動変容につながる」、「自分の実体験からも体重減少はカロリー管理で減量可能ですし、それに伴い検査数値は改善します。その自覚と行動変容が肝心。」

米澤氏「『自己責任』と突き放すのではなく、専門職から正しい指導を受けられる仕組みを保険診療として整えてほしい。」

鬼木氏「特定健診への血小板導入や運動療法の評価は、健康寿命延伸と医療費適正化に不可欠であり、与党としてもしっかり取り組む。」
基調講演の後に、前多久市長・元社会保障審議会医療保険部会委員の横尾俊彦氏、NPO法人東京肝臓友の会の米澤敦子氏、モデレーターの日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 武藤正樹氏を交えまして、3つのテーマ(テーマ①『特定健診制度の壁とスクリーニングの全国標準化』テーマ②『疾患特性に応じた介入策と運動リハビリの制度化』テーマ③『「自己責任論」を打破する医療経済的インパクト』)について、パネル討議を行いました。
横尾氏からは「多久市では集団健診に血小板検査を導入済み。1人数百円程度で実施可能で、決断と実行が要。その数値でリスクを明示でき、市民の行動変容につながる。あとはご本人の意識と行動が健康な人生を叶える」とのご意見を頂戴し、米澤氏からは「患者相談でも脂肪肝やアルコールの悩みが急増している。『自己責任』と突き放すのではなく、理学療法士や栄養士による正しい指導を保険診療として受けられる仕組みがあれば心強い」とのコメントを頂戴しました。さらに、特別挨拶として登壇された衆議院議員 自由民主党の鬼木誠氏からは「特定健診への血小板導入や運動療法の評価は、国民の健康寿命延伸と医療費適正化に不可欠であり、与党としてもしっかり取り組む」として制度改正に向けた前向きなご意見がございました。
弊協会は今後、本ラウンドテーブルにおいて登壇者より示された最新の知見や現場の課題提起を踏まえ、非ウイルス性肝炎の重症化予防に向けた具体的施策を「民間の声」として政策提言書に取りまとめ、公表いたします。特定健診におけるスクリーニング体制の強化や運動リハビリの制度化など、国民の健康寿命延伸と医療費適正化に資する政策検討が国や自治体において迅速に進むよう、関係機関への働きかけを含めた活動を推進してまいります。
弊協会では、こうした取り組みを通じて、市民、学者、政治家、行政が参加するオープンな議論と政策検討の場を用意する「パブリックアフェアーズ活動」の概念普及を推進しています。政府機関だけでは解決策を考察・実行することが困難な社会課題に対し、今後も民間の活力と叡智を取り入れた解決策を提供すべく、多角的な議論や研究を継続してまいります。
「一般社団法人 日本パブリックアフェアーズ協会」組織概要
■理事一覧
代表理事 増田 寛也 財政制度等審議会財政制度分科会分科会長代理
元総務大臣/元内閣府特命担当大臣/元岩手県知事
理事 市川 芳明 信州大学社会基盤研究所特任教授
一般社団法人企業間情報連携推進コンソーシアム理事長
理事 岩本 隆 慶應義塾大学大学院経営管理研究科講師
理事 酒井 光郎 パブリックアフェアーズジャパン株式会社代表取締役
監事 阿部 洸三 TMI総合法律事務所弁護士
■アドバイザー
武藤 正樹 社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事
よこすか地域包括ケア推進センター長
印南 一路 慶應義塾大学総合政策学部教授
医療経済研究機構副所長兼研究部長
鈴木 寛 東京大学公共政策大学院教授
慶應義塾大学政策・メディア研究科特任教授
根来 龍之 名古屋商科大学ビジネススクール(東京校)教授
大学院大学至善館特命教授/デジタル経営研究センター所長
早稲田大学名誉教授
野口 昌克 広島大学産学連携部バイオデザイン部門 特命准教授
一般社団法人Medical Excellence JAPANシニア戦略アドバイザー
■シニアポリシーフェロ―
双津 森雄 外務省を経て現職
加藤 雄一郎 厚生労働省を経て現職
■事務局
E-mail:info@j-paa.jp / TEL:03-6821-7869
■関連リンク
Webサイト https://www.j-paa.or.jp
本記事は、一般社団法人 日本パブリックアフェアーズ協会が2026年10月8日にPR TIMESで発表したプレスリリースを原文のまま掲載しています。
元のリリース:ラウンドテーブル「『サイレントキラー』非ウイルス性肝炎の重症化を防ぐ政策的アプローチ ~特定健診スクリーニングと『かかりつけ医×専門医』病診連携の最前線~」を開催