賃上げの実施状況と未実施の背景
調査によると、賃上げを実施している企業は63.3%で、前回の66.3%から3.0ポイント低下したものの、6割超の企業が賃上げを継続しています。一方で、賃上げを「実施していない」企業は36.7%に上ります。その主な理由として、「売上や利益が伸びていないため」が39.7%で最多であり、「賃上げの必要性を感じていないため」が23.1%、「人件費の増加が経営を圧迫するため」が19.9%と続いています。この結果は、賃上げ実施には本業での収益力強化が不可欠であることを示唆しています。



賃上げの理由と賃上げ率のギャップ
賃上げを実施した企業の理由としては、「従業員の定着率や満足度を高めるため」が73.9%と突出しており、次いで「社会的要請や業界の流れに対応するため」が36.8%でした。「業績が改善したため」は11.4%に留まっており、多くの企業が業績改善だけでなく、人材確保・雇用維持のために賃上げを進めている可能性が考えられます。


2026年春季生活闘争の最終集計で全体5.01%、中小4.69%、最低賃金目安が4.9%引き上げと「5%前後」の水準が意識される中、今回の調査では賃上げ率が1~4%未満の企業が48.4%を占め、4%以上は31.4%に留まりました。この結果は、高水準の賃上げが求められる社会的な要請と、中小企業の現場の実態との間にギャップが存在することを示しています。

賃上げの効果と経営への負担
賃上げを実施した企業のうち47.5%が「効果があった」と回答しており、具体的な効果としては「従業員のモチベーションが向上した」が83.1%と最も高く、「離職率が低下した」が21.6%、「採用がしやすくなった」が13.5%と続きました。賃上げは従業員の意欲向上につながりやすい一方で、採用や生産性向上への波及には一定の時間を要する可能性があります。また、賃上げの効果は実施理由によって異なり、「業績が改善したため」に賃上げした企業では62.2%が効果を実感しています。


賃上げに必要な原資については、約6割の企業が「十分に確保できている」(12.7%)または「ある程度は確保できている」(46.9%)と回答しましたが、「十分に確保できている」企業は1割程度に留まります。原資の確保方法としては、「売上拡大による利益の確保」が63.6%で最多であり、「製品・サービスへの価格転嫁(値上げ)」が30.3%、「業務効率化・生産性向上によるコスト削減」が17.9%と続きました。
賃上げを実施している企業の57.8%が経営上の負担を感じており、具体的な影響としては「人件費負担の増加」が89.9%、「営業利益の減少」が74.9%、「広告費や設備投資など他予算への圧迫」が43.8%と報告されています。これは、賃上げが従業員のモチベーション向上や人材定着につながる一方で、短期的には人件費負担や利益面への影響として表れやすいことを示しており、継続には収益力の強化が不可欠です。


賃上げ促進税制の認知度と今後の見通し
国の「賃上げ促進税制」については、「制度を知らない」と回答した企業が48.5%と約半数を占め、「活用している」企業は9.2%に留まりました。企業側の収益力強化に加え、公的支援制度の認知と活用を広げることが、持続的な賃上げを後押しする上で重要であると考えられます。

フォーバル GDXリサーチ研究所の平良 学所長は、「今後、持続的な賃上げを実現するには、売上拡大や適正な価格転嫁、業務効率化によるコスト削減に加え、高付加価値の商品・サービスへの転換などを通じて『本業で稼ぐ力』を高めることが重要です。また、賃上げ促進税制を知らない企業が約半数に上ることから、公的支援の認知・活用を広げることも欠かせません。企業自身の取り組みと支援策を組み合わせ、中長期的な戦略に基づいて賃上げに向き合うことが求められます。」とコメントしています。


今回の調査結果の詳細は、以下のURLから確認できます。
http://gdx-research.com/wp-content/uploads/2026/07/bluereport_202608-2.pdf
調査概要
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調査主体: フォーバル GDXリサーチ研究所
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調査期間: 2026年6月1日~2026年6月30日
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調査対象者: 全国の中小企業経営者
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調査方法: ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
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有効回答数: 1,653人
フォーバル GDXリサーチ研究所について
フォーバル GDXリサーチ研究所は、日本の中小企業の99%以上を占める中小企業の成長を支援するため、Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した企業変革「GDX(Green Digital transformation)」に関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、発信している研究機関です。




