「Gomez ESGサイトランキング2026」発表、ソフトバンクが総合1位を獲得

背景:高まるESG情報開示の重要性

ESG情報が投資判断や企業価値評価において重要性を増す中、日本では2026年2月の開示府令等の改正によりSSBJ基準に準拠した開示の枠組みが整備されました。これには企業戦略と関連付けた人材戦略の開示も新たに求められています。さらに、2026年7月には改訂コーポレートガバナンス・コードも確定するなど、サステナビリティ情報を含む企業開示をめぐる制度整備が一段と進んでいます。

企業には、義務化される開示への的確な対応に加え、ガバナンス・戦略・リスク管理・指標及び目標の相互のつながりや、財務情報を含む他の企業開示との整合性を意識した情報発信が求められています。特に企業ウェブサイトにおいては、多岐にわたる開示情報を分かりやすく整理し、必要な情報へ容易にアクセスできる情報設計の重要性が高まっています。また、生成AIを介した情報探索の普及を踏まえ、人だけでなく機械にも情報の内容や構造が正確に認識されるような情報提供が、企業ウェブサイトに求められる新たな要件となりつつあります。

Gomezは、2020年からESGサイトランキング調査を開始し、今回で7回目を迎えます。この調査は、国内外の開示基準やトレンド、社会的課題への注目度などを踏まえて調査項目を見直し、アナリストによる評価を通じて総合的に優れたESGサイトを決定するものです。

調査概要と評価項目

本ESGサイトランキング調査では、ウェブサイトの使いやすさ、ESG共通、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)の5つのカテゴリから構成される調査項目が設定されています。主要ユーザーである株主・投資家だけでなく、幅広いステークホルダーの視点を盛り込んで設定されており、生成AIを含む機械的な情報探索・取得の拡大を踏まえ、人と機械の双方による情報取得の観点から評価が高度化されています。

調査概要

ランキング結果:ソフトバンクが総合1位

「Gomez ESGサイトランキング2026」の総合第1位はソフトバンクが獲得しました。総合得点は8.76点でした。特にS(社会)で9.54点(第1位)、G(ガバナンス)で9.72点(第1位)、ESG共通で8.96点(第2位)と、社会・ガバナンス領域とESG共通で高い評価を得ています。

総合第2位は伊藤忠商事で、総合得点は8.71点でした。ESG共通で9.56点(第1位)、E(環境)で9.83点(第1位)を獲得し、複数の情報領域で高い評価を得ました。総合第3位は東急不動産ホールディングスで、総合得点は8.16点でした。ESG共通で8.93点(第3位)、E(環境)で9.14点を獲得しています。

ノミネート企業205社のうち、総合得点6.00点以上を獲得した168社は「ESGサイト優秀企業」に選定されました。

Gomez ESGサイトランキング2026 上位10社

カテゴリ別上位企業

  • ウェブサイトの使いやすさ
    ウェブサイトの使いやすさ カテゴリ別上位5位

  • ESG共通
    ESG共通 カテゴリ別上位5位

  • E(環境)
    E(環境) カテゴリ別上位5位

  • S(社会)
    S(社会) カテゴリ別上位5位

  • G(ガバナンス)
    G(ガバナンス) カテゴリ別上位5位

ESGサイトの動向と今後の見通し

2026年の調査結果からは、サステナビリティ情報の開示が量的な拡充を続ける一方、情報の内容や粒度を高め、相互のつながりを明確にする動きが一段と進展していることが確認できました。マテリアリティに関する指標や進捗、人権デューデリジェンス、気候・自然関連情報、人的資本、ガバナンスなど幅広い領域で情報発信が深化しています。方針や目標を示すだけでなく、具体的な実績や取り組み、その進捗までを一連の情報として示す企業が増加しています。

ウェブサイトにおいては、ユーザーが必要な情報を容易に見つけ、その内容や関連性を理解できるように提供する役割がこれまで以上に求められています。本年の調査では、目的・用途別のインデックスや早見表、下層ページまで一覧できるナビゲーションなど、情報の見つけやすさ(ファインダビリティ)を高める取り組みが大きく進展しました。目的・用途別のナビゲーションを設置する企業は76社(37.1%)と、前年の12社(6.5%)から大幅に増加しています。一方、サイト内検索の提供範囲や精度、アクセシビリティ、サイトの技術的な品質などについては、企業間で対応状況に差が見られます。

生成AI等を介した情報探索・取得が急速に普及するなか、企業ウェブサイトで発信する情報は、人にとって分かりやすく見つけやすいだけでなく、検索エンジンやAIを含む機械からも適切に認識・取得できることが重要になっています。情報の内容や構造を正確に伝えるための技術的な整備と、人と機械の双方が必要な情報へ円滑にアクセスできる情報設計は、今後のESGサイトの品質を左右する重要な要素になるでしょう。

主要な評価項目と達成状況

  • ユーザーが求める情報に到達しやすいサイト構成や動線の確保: 目的・用途別のナビゲーション(インデックス・早見表)を設置する企業は76社(37.1%)と大幅に増加。ESGトップから下層のローカルメニューまでを一覧化し、各ページへ直接遷移できる動線を提供する企業も140社(68.3%)に伸長しています。

  • サイト内検索機能のさらなる機能向上: 英語サイトを含むすべてのページでサイト内検索を利用できる企業は100社(48.8%)にとどまり、英語サイトや下層ページまで通貫して利用できる検索環境の整備が次の課題です。検索結果において最新の公式情報を上位に表示するチューニングを行う企業は119社(58.0%)でした。

  • 機械可読性に影響するテクニカル面での整備: XMLサイトマップを設置する企業は119社(58.0%)にとどまり、4割を超える企業で未対応です。正常URL率90%以上の企業も100社(48.8%)と半数を下回っており、継続的なサイト管理と最適化が課題となっています。ESGトップの表示速度が2.0秒以下の企業は102社(49.8%)でした。

  • アクセシビリティ対応: ヘルプ機能の定位置への配置は200社(97.6%)、色の違いが識別できなくてもコンテンツを認識できる表示の採用は183社(89.3%)と高い水準です。しかし、コントラスト比の確保は114社(55.6%)、フォーカスの可視化は78社(38.0%)と項目によってばらつきが見られます。アクセシビリティポリシーを掲載する企業は95社(46.3%)でした。

  • マテリアリティ: マテリアリティ(重要課題)を掲載する企業は195社(95.1%)、特定プロセスの説明についても187社(91.2%)に達し、基本的な掲載情報として定着しています。マテリアリティごとの実績評価指標を具体的に掲載する企業は140社(68.3%)、進捗状況まで具体的に掲載する企業も106社(51.7%)と過半を超えました。

  • 気候変動・自然関連の開示と第三者保証: TCFDの提言に沿った情報を掲載する企業は175社(85.4%)に達し、GHG排出量についてもScope1・2は141社(68.8%)、Scope3は122社(59.5%)がデータを掲載しています。これらの環境関連の公表データについて第三者保証を取得していることを明示する企業は125社(61.0%)でした。TNFDへの賛同を表明する企業は117社(57.1%)と大幅に増加し、TNFDの提言に沿った情報を掲載する企業も89社(43.4%)に達しています。

  • 人権関連: 人権に関する基本方針や取り組みを掲載する企業は200社(97.6%)に達し、ほぼすべての企業で情報掲載が定着しています。人権デューデリジェンスについても179社(87.3%)、グリーバンスメカニズム(苦情処理メカニズム)についても117社(57.1%)が情報を掲載しています。

  • 人的資本関連の社会性項目: 男女間の賃金比を時系列で掲載する企業は102社(49.8%)と、前年の71社(38.4%)から大きく伸長しました。2026年4月施行の改正女性活躍推進法による公表義務拡大が背景にあると考えられます。人材戦略とKPI、目標、実績、具体的な施策とのつながりを明確に示すことが、今後の人的資本開示の充実に向けた重要なポイントとなるでしょう。

  • ガバナンス関連の情報発信: 政策保有株式の保有方針を掲載する企業は124社(60.5%)ですが、具体的な銘柄名の掲載は17社(8.3%)、売却に関するロードマップの掲載は24社(11.7%)にとどまりました。改訂コーポレートガバナンス・コードにおいて、中長期的な企業価値向上に向けた実質的な取り組みが重視されるなか、今後の情報拡充が期待される領域です。税務ポリシーの掲載は149社(72.7%)へ、腐敗防止に関する方針は181社(88.3%)へと増加しています。

  • サイバーセキュリティやAIガバナンス: サイバーセキュリティに関するポリシーや取り組みを掲載する企業は162社(79.0%)と高い水準です。AIの活用やAIガバナンスに関する方針・声明についても、すでに49社(23.9%)が情報を発信しています。

  • 英語での情報発信: ESGサイトを日本語・英語でミラー対応とする企業は86社(42.0%)と増加傾向にあります。TCFDの提言に沿った情報を掲載する企業は181社(88.3%)、全取締役・監査役のスキルマトリックスを掲載する企業は144社(70.2%)、HTML形式でESGデータ一覧を掲載する企業は127社(62.0%)に達しています。グローバルなESG評価機関やデータプロバイダーによる情報収集・分析において企業ウェブサイトの公開情報が活用されており、機械的な情報取得が拡大するなか、主要なESG情報について英語での情報量や粒度を確保し、外部から正確に取得・活用できる情報環境を整備する重要性が高まっています。